Nicotto Town



プログレは グルーヴしては いけませぬ?


家で過ごすことが多く無聊を持て余す知人のため、
プログレばかり集めたUSBを渡そうと曲データを集め始めたら、
半日以上かかった。全40曲、英伊仏独日が中心。

最初は1バンド1曲という縛りを課してたんですが……無理っす。
我慢に我慢を重ね、最大でも3曲とした(これでもツライけど)。
さて本題、プログレにグルーヴは必要でしょうか?

ジャズのスウィング、ロックのドライブ、ファンクのグルーヴ……
ビートの共有から生まれる高揚感という名の共同幻想の一種ですね。
各ジャンル特有のノリ(リズム/ビート)をプログレは意図的に排除することがある。

逆の例としてプロコルハルムの『青い影』。私はプログレと思わない。
セッションドラマーの素晴らしいグルーヴがこの曲を名曲に仕立て、
若き日の荒井由実を感動させたわけですから、ポップスの名曲としたい。

非グルーヴ派の最右翼がYES。主犯はビル・ブラッフォードですね。
アランホワイトは出自のせいか、遥かにグルーヴする瞬間が多い。
ブラッフォードが『Sound Chaser』叩いたらどうなってたのか知りたいなぁ。

この流れを汲む一派は意外と日本に多い。知的な非フリー派に特に。
YBO~RUINSの吉田達也、アルタードステイツの芳垣安洋、
ティポグラフィカの外山明などなど。おっと、みな超名手ですよ。

吉田達也が山本精一と組んだユニット、RUINS波止場の一曲に、
太陽と戦慄パートⅡと、JBのセックスマシーンを同時演奏してるのがある。
ふざけてるわけじゃない。非常に知的で高度な、音楽的探究のひとつです。

『プログレ』に意義があったとするなら、安寧や平穏の拒否ではないか。
だから、ゆったりと豊潤な音楽に身を任せるプチブルを音符で殴りたい。
奇妙奇天烈な変拍子に音色、ぶっ飛んだ和声に難解な歌詞。ね、プログレでしょ。

ただし、ブラッフォードやCANのヤキ・リーベツァイトは少数派でして、
殆どのプログレドラマーは見事なグルーヴを出すこともお茶の子さいさい。
そこで拍子を変えて違和感やぎこちなさを出すのでは。

Gentle Giantのジョン・ウェザース、キメ以外は全て豪快なロックビート。
MAGMAの総帥クリスチャン・ヴァンデはキメ以外ツインバス轟音ジャズ。
AREAのジュリオ・カピオッツォはイタリアの森山威男の如し。

フィル・コリンズもマニ・ノイマイアーもフリオ・キリコも超絶名手。
ちょっと路線の違う人は……ニック・メイスンとカール・パーマー。
多分に偏見が入りますので、ファンの方には先にお詫びを。

PINK FLOYDを私は屈折しすぎたブルースロックだと思ってるのです。
ゆえにニック・メイスンのドラムというのはブルースロック屋のドラム。
あのバンドでプログレしてたのは除名されたリック・ライトだけだと思う。

カール・パーマー……非常に苦手で評価の難しいドラマーでございます。
ドンカマの対極にある、フレーズ/拍ごとに伸縮するビート感は、
ジャズだとフィリージョージョーンズに近い。簡単に言うと、合わせにくい。

一緒にやれと言われても絶対断る。彼のビートには気持ちよく乗れない。
EL&Pの独自性ってここにありまして、タイトなグレッグ・レイクのビート、
変幻自在のキース・エマーソンあってこそ輝くのがパーマーだと思う。

閑話休題。プログレにグルーヴやノリは必要か? どっちでもいいですけど。
VDGGの『Still Life』、ガイ・エヴァンスのおかげでアタマを取り違える。
この齟齬・違和感が『プログレ』の魔力です、と締めて終えましょう。

【蛇足】

カナダの国宝バンドRUSH。私はハードロックと思ってるので入れなかった。
ニール・パートもまたカール・パーマーに通ずる難解なビートの方でして、
RUSHの曲でノレた覚えがない。カーマイン・アピスのほうがマシ。

『プログレ』とクロスオーバー/フュージョンの違いを考えると、
グルーヴしないのがプログレ、するのがフューションという妄説も主張しよう。
RTF、WR、マハビシュヌ、電化マイルス……全てグルーヴありますよね。

だからジャズ屋には『プログレ』はできない。フュージョンになってしまう。
ジャコパスはスティーブ・ハウとやりたいとは思わないだろうし、
スティーブ・ガッドはウリ・トリプテのベース聴いたら逃げるだろう。

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