Nicotto Town



仮想劇場『悟空の尻尾はなぜ切れた?』


海の底で息を殺したまま
キラキラと尖る海面を見ていた
苦しい顔を見せるわけにはいかない
きっと誰かを不安にさせるから

このまま歩いて海の向こうまで行こう
このまま夢心地になって人生の端っこまで

虫眼鏡で見る世界は僕をいつだって巨人にしてくれる

目覚めると僕は大きな背伸びをしていて
気が付くと小さな町を尻で踏んでた
僕は常に知らない誰かを不幸にしている

ばかばかしいほど孤独を感じる朝に
ジェット機はそのはるか上空を飛び去って


切なさはたぶんそこにはなくって
悲鳴一つも耳には残らなかった
誰かに負けたわけでもなく
誰かに脅されたわけでもなく
僕自身に急かされこの尻尾を切り落としたんだ

双眼鏡で見る世界が僕は井の中の蛙だと教えてくれて

キミの瞳に儚さが滲んで僕の存在を明確に変える

そしてキミの涙がちゃんと零れ落ちるように人生の端っこまで行こう


#日記広場:自作小説




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