【イベント】ソロキャンイベント Vol.8
- カテゴリ:自作小説
- 2025/11/06 22:28:38
「まぁ… 残念だったな…」
「先輩…」
俺は、パソコン画面に大きく踊った画像に一瞥をくれて
「オマエはよく頑張ったよ。ほぼ一人でやりとげたからさ…」
パソコンの画面。
キャンプイベントの申込数
「… 2件…」
「仕方ない、ツアーキャンセルだな…」
後輩女子は目いっぱい頑張ってた。
ソロキャンとファミキャンの融合…をテーマに、様々な企画を入れ込んで作った作戦だった。
上司の懸念や反対を押し切ってぶち上げた企画。
『スターナイトキャンプ~ソロもファミも関係ね~っ!』
ソロ派はファミ派に、ファミ派はソロ派に お互いに協力しあう。
キャンプ飯のレクチャーはソロ。
火おこしや材料運びサポートにファミ。
それで、自由参加のナイトイベント。
子供たちと、ダンスや焼きマシュマロで一緒に
目の付け所は良かったんだ。
「先輩… どこがいけなかったんですか…。私は、こんな企画があれば、真っ先に参加したいって思える企画にしたつもりなのに…」
涙目になる後輩女子。
「俺にも分かんないよ。この企画なら、そこそこに集客は見込めるって思ったんだけどさ…」
そう、俺も彼女の企画には結構乗り気だったんだ。
しかし、集客は惨敗… なんでなんだろう?
て思って。
「開催時期が… 悪かったんでしょうか…」
「仕方ないさ、会社の方針で5月開催になったんだから…」
本当は秋、10月開催にしたかったんだけど、5月でもいい気候だし、そこまで誤差は出ないって判断をしたのは俺だ。
「ごめんな。オマエが精いっぱい頑張って企画組んだのにな… 俺がもうちょっとしっかりしてればって…」
実はついさっき、俺は会社の役員に呼ばれたんだ。
後輩女子はそれを知らないけどさ。
「今回の企画、酷いもんだったな… 当社立ち上げ以来の、最大の失敗だ…」
役員は俺を立たせたまま、応接室の椅子に座れと指図もせず、入ってきたと同時にキッツイ言葉を浴びせてきた。
「申し訳ございません」
そう言うしかなかったよ。
「新入社員の彼女は仕方ない。まだまだ経験が足りないから、これもいい薬になっただろう」
「はい…」
俺はうなだれて、言葉もない。
「しかし君は別だ」
「はい」
「ツアーキャンセルの責任は取ってもらう。分かるな…?」
はい 分かってますよ。
そんなリスクを背負っても、俺は後輩女子の企画を通してやりたかった。もちろん、彼女の企画が素晴らしいって判断したのも俺だし。
いや、ほんとにいい企画だったんだよ…
『オマエのやりたいようにやれっ』
そう言ったのも俺だし。
「秋の人事異動で、君には責任を取ってもらうことになるだろう。それは事前に告げておく」
俺はハッとして、役員に向き直ったんだ。
「それって、企画部から外される…ってことでしょうか?」
役員は、言葉を濁すように
「それも含めてだ。あと、今週末を持って、彼女との共同施策班からは外れてもらうことになる」
えええっ
あ、でも、そうかあ…
俺と後輩女子、ついに離れ離れになっちまうってことだな。
「…」
「わかったら下がっていい」
「…はい…」
会社の屋上。
空は、俺たちの心情に忖度なく、すっきりと晴れきっている。
「先輩… 私は…どうしたらいいんでしょう…」
頼りなさげに俺を見上げる彼女。
「大丈夫さ。オマエは処罰を受けることはない。だいいち、まだまだひよっこのオマエに、いくら会社も何か懲罰とかはないから心配すんな」
俺はわざとらしく笑ってみせたんだ。
「でも…先輩は…?」
俺は背中を向けて
「俺のことなんか心配の必要ないさ。企画部のエースだもんなっ 俺(笑)」
「だったらいいんですけど…」
まだ心配そうな表情で俺を見つめる後輩女子。
俺はちょっと視線を外すようにして
「だから、切り替えてもっと素敵な企画を組むんだ。わかったか?」
頼りなげな表情に、一瞬復活の笑顔が宿った。
「はいっ 分かりました!!」
「あはは それでこそオマエだ。頑張れよ」
「はいっ!切り替えます!これで終わりってことじゃないしっ」
俺はウンウン頷いて見せるしかなかった。
「先輩っ!これからもよろしくお願いしますねっ いろいろアドバイスくださいね!」
「あはは 分かったよ…」
切り替え早いなオマエ。
でもさ
俺は、もう、オマエをサポートできなくなるんだ…
ごめんな 後輩…
(続く

























これ、後輩ちゃんが知ったら、、、大丈夫かな?!
このあと、後輩ちゃんとの仲は??どうなるのかが気になります。
後輩女子が知ったら、泣くんだろうな・・・・
これって、実話じゃなかったのかな?