【イベント】ソロキャンイベント Vol.11
- カテゴリ:自作小説
- 2025/11/26 22:02:53
「先輩… 先輩…」
「なんだよ。もう酔っぱらったのか?」
俺は目の前に置かれたグラスを掴んで、ひと口飲んでみる。
後輩女子、疲れたんだろうな。
いつも飲んでた焼酎じゃなく、今夜は薄いバーボンの水割りをカウンターに置いていてさ。
「先輩…」
「だから、なんだよ?」
「ありがとうございます…」
お?
お礼か?
なんか後輩女子らしくねーじゃん と思いつつ、俺はマスターにグラス差し出してお代わりをリクエストする。
「私ひとりぢゃ… とても企画ができなかったと思います…」
彼女はややカウンターに突っ伏したような恰好で。
やっと20歳になったばかりとは思えない、いつの間になんだろう、微かに大人の色気を漂わせてきてるんだ。
「先輩っ! ネット申込がすっごいことになってます!」
後輩女子がパソコンの画面から目が離れないまま、大声で俺に告げる。
新しい企画でネット申込を開始した初日のことだ。
申込開始から、予約申し込みが殺到し、サーバーがパンクしそうになってる。
募集数が100に対し、予約開始10分で500以上のオーダーが入ってる。
「ま、まぢか…?」
俺はその画面を見ながら、上がり続ける申込数表示に目を白黒させて。
「ほんと… この企画でこれだけ申込が入ってくるなんて…」
後輩女子はやや興奮気味に、そして食い入るようにパソコン画面を見てる。
企画は、案外簡単なんだ。
ソロキャン・車中泊のグループと、ファミキャングループを分けただけなんだ。
でももちろん、そこに一味・二味加えてみてるんだけどね。
ソロキャンには、ソロキャンyoutuberのインフルエンサーを2人、
車中泊キャンパーには、車中泊Youtuberの有名どころを2人、
企画として加えただけなんだ。
以前から交流のあったyoutuberに
「キャンプ企画があるので、そこで自由にあなたたちのイベントをやってみてはどうすか? それを当社の募集企画に組み込みます。謝礼はささやかですが、あなたたちの収益はそのイベントでペイできると思います」
とだけDMを送ったのさ。
そしたら、即(ほんとびっくりしたくらい素早く)youtuberさんたちからメッセージが届いてきたんだよね。
『りょーかいです!ソロキャンパーの集会って感じでいいですか?』
『いいですね!車中泊の同好の人たちと交流持ちたいです!』
(まあもちろん『もしあなたにご賛同いただかなければ、他のyoutuberさんにお声がけしますので、ご心配なさらないでください』と煽ったのは内緒だけどw)
そこから、youtuberさんたちの企画がガンガン流れ込んできてさ(-_-;)
「ソロキャンの際のワンポイント… みたいな の よかったですよね…」
後輩女子、俺を見上げながら、とろんとした目で
「そうだなあ 女性youtuberが1人いたのが良かったかな。みんなもそれぞれのチャンネルで参加呼び掛けてくれたしな」
俺はつまみの枝豆をひとつ、口に放り込んで。
「車中泊キャンパーも、けっこ有名な方が協力してくれましたもんね…」
「うんうん。車中泊料理のコツとか、車中泊の場所を見つけるコツとか…」
ニッチなカテゴリーだからこそ、そこの情報に飢えたターゲットが多くいるはず…と仮定したのが大当たりだったんだよな。
10万人以上のフォロワーを持ってるyoutuberたちが、無料で宣伝してくれた結果につながったんだよね。
でも本当はファミキャン企画が目玉だったんだ。
ファミキャン同士の交流会
そして、ファミキャン対象の『ヨガ教室』
これが、腰痛に悩む40代のお父さんや、美容に気を付けだしたお母さんにバズったんだよね。
最終申込は1,000件を超えた(驚き)
キャンプ企画は大成功。
参加者もみんな満足してくれたみたい。
企画が終わった翌日の夜、経費計算や請求書の処理を、俺と後輩女子の2人だけで終わらせたのが夜の9時…
「さ、帰るか?このへんでいいだろ…」
俺はパソコンの電源を落とし、バッグを手にして彼女にそう言ってみた。
「そうですね…もうオオマカな処理は終わりましたし…」
後輩女子も立ち上がって、俺を振り返って少し笑って。
「で…」
「おお、で…?」
無言で、俺たちの意思が交わったんだろうな、その時にね。
なので今 馴染みの飲み屋に来てるわけさw
「先輩… 私、まだまだ半人前ですね…」
「そんなことないだろ。この企画も大当たりだったろ」
「いえ、先輩の提案やフォローがなかったら、また同じような失敗してたと思いますっ!」
俺は言葉を失って
「多少は手助けできた…思うけど…」
「先輩!」
『はい?』
後輩女子、俺の方に向き直り(酔っぱらってるな?顔が真っ赤だぞ)
「先輩に、言っておかないといけないことがあるんです…」
え?
なんだいきなり…?
(続く






























「先輩に、言っておかないといけないことがあるんです…」
おっ、愛の告白か?ワクワク。
とりあえず、企画の大成功おめでとうございます(ू•ᴗ•ू❁)