運命の糸の先
- カテゴリ:自作小説
- 2025/11/27 23:50:41
最終章
その夜はレンと共に私のベッドで眠った。彼はずっと私を抱き締めた儘眠っていた。私が目を覚ましたのは朝の11時頃だった。彼に抱き締められていた腕を解き、私はそっと寝室からリビングへと向かった。換気扇へと向かい煙草へと火を点けた。肺一杯に吸い込んだ煙をゆっくりと吐き出す。それを何度も繰り返した。そうこうしている間に時刻は11時半を廻ろうとしていた。彼も目を覚ましたらしく、寝室から出て来ていて、…「おはよ、アオネさん…」とまだ寝惚けた儘の様子の彼がいた。…「おはよ、レン」と私も返し、…「煙草でも吸いなよ?」と声を掛けた。…「ん…ありがと」と彼は言い、煙草に火を点けていた。煙草を吸いながら彼は…「ねぇ、アオネさん…一緒に暮らさない?」と私にとっては意外過ぎる言葉を貰っていた。…「…え?」と驚きを隠せず、言葉が紡げなくなっていた頃、…「俺と暮らそうよ」と後押しされてしまった。それから6年の月日が流れた。私はレンと暮らしていた。主人とはまだ婚姻状態だったが、全く連絡は取っていない。彼との6年はとても居心地の良いものだ。一緒に朝食を採り、沢山の言葉を交わし合いキスをし一緒に眠る。彼は私の身体を求める事はなかった。それが何よりも心地良かった。仕事を終えた私はベランダへと出て、煙草をふかしていた。…私の運命の先の人はレンだったんだろう…そんな事を考えていた時に彼から声を掛けられた。季節は12月の寒くなって来た季節だ。…「アオネさーん?まーた外で煙草吸ってる…寒くないの?」と少し楽し気に言う彼に私は…「私は寒いのが好きなの…ふふ」と笑った。…「アオネさんの笑顔すっげぇ好きだ…」…「ありがと」とにこやかに返した。これからも続くであろうこの生活を私は一生大事にして行きたい。そんな風に思った。彼もベランダへ出て私を背後からふんわりと優しく抱き締めてくれた。…「温かいもん入れるから早く戻って来て」と彼は言ってくれていた。…「今は俺が温めてあげるからね」とも言っていた。何とも不思議な関係だが、これから続いていく生活に「幸せ」しか待っていない事は確かだった。澄んだ空気感の中、…「レン?大好きだよ」と背後にいる彼に伝え、後ろを向き、キスをした。…「俺も…アオネさん…愛してるよ」と少し甘い香りの石鹸の香りのする香水が心地良かった。夜空が美しくも儚い。…「さ、中に入ろ」と彼を誘う(いざなう)。彼に温めて貰った身体と共に部屋へと戻って行った。…「私の運命の人はレンだったんだね」と笑った。…「俺もそう思うよ」そんな会話をしたのをずっと覚えている。冬の夜空が綺麗なとある日だった。





























