タケシの武勇伝…(22)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/11/01 18:20:19
「手術を受ける気はありますか?」
塙さんの口調は元の冷静さを取り戻していた。
「おれの指が手術して治るんですか?そんな訳ないでしょ…」
紅茶に視線を落としたまま、タケシは相手の目も見ずにこういい返した。彼らしくない態度だが、それも無理からぬことだった。何も知らない者だったら信じるかもしれないが、切れた神経をつなげることができるなら、どんな大ケガした人でも代わりのモノにつなげれば動けるようになるだろう。ちょっと考えればすぐに判ることだった。
「もちろん、普通の手術ではムリです。ですが、我々が貴方に施そうとするのはありきたりの手術ではありません。」
ここで一息をついた塙さんは、疑いの目いっぱいのタケシを焦らすように紅茶を一口すすった。
「北野さん…人間の神経って脳からの信号で動いているのは判りますか?」
「…?」
「まあ、細かいことはさておき、北野さんに関していうと、貴方の断裂した神経をつなげる新しい神経組織を腕に埋め込むのです」
今度は塙さんがタケシの目を見ずにゆっくり紅茶をすすった。あえてタケシの興味を惹きつけるためだった。
「すんませんが、俺もそこまでバカじゃないっすよ。そんなことが本当にできるんならとっくにみんな義手や義足くっ付けて平気で動いてるでしょ!」
タケシは、飲み干したティーカップを皿に戻すと呆れた顔で残ったケーキをまた食べ始めた。
…美味いのはケーキと紅茶だけ。ハガレンのエドじゃあるまいし、神経がつながるわけねぇだろ!
塙さんは、ただ黙ってタケシの食いっぷりを見つめていた。その口元にかすかな笑みを浮かべながら・・・
※※つづく※※
シンさん本人はともかく、周りの方はそうでないとも言い切れなさそうな…ちょっと不安です。
しかし殴ってまで止めたのだからそれ相応の何かが!?・・・・・。
タケシの言ってることは確かにあってます・・・ッてことでステプポチ