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鋼鉄のブルース — エタへの鎮魂歌3

深夜のキッチン、冷えた琥珀色の液体。
魂の叫び(ソウル)はもう、どこへも届かない。
エタ、あんたの歌声は
かつて夜の街を焼き尽くすほどの熱を持っていた。
だが今は、静寂という名の認知症
あんたの記憶を、一行ずつ丁寧に消していく。
「あの日」のステージ、スポットライトの眩しさ、
男たちの溜息、そして愛したはずのメロディ。
すべては霧の向こう側。
真っ白なキャンバスに塗り替えられた頭の中に、
音楽の居場所なんて残っちゃいない。
追い打ちをかけるように、白血病が牙を剥く。
誇り高きディーヴァの血管を、
冷たい沈黙が、音も立てずに支配していく。
泥沼のような人生を、歌い飛ばしてきた。
ドラッグ、刑務所、激しい恋。
どんな絶望だって、あんたの「At Last」にかかれば
極上のブルースに変わった。
だが、最後に立ちはだかった敵は、
怒鳴ることも、歌い返すこともできない
「空虚」という名の真っ白な怪物だ。
あんたはもう、自分が誰だったかも覚えていないかもしれない。
けれど、スピーカーから流れるその声は、
今も俺たちの胸を抉り続けている。
記憶が消えても、魂は消えない。
消えゆく意識の淵で、あんたは何を聴いている?
誰もいないフロアに、ただ一滴。
重たいブルースが、静かに零れ落ちた。

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