Nicotto Town ニコッとタウン

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死神の同窓会

背後に立った気配だけで、酒がまずくなった。
紫煙と、安物の香水の混じった匂い。
忘れたはずの過去が、磨り減った靴音を立てて近づいてくる。
「相変わらず、趣味の悪い場所に居るな」
聞き覚えのある声に、俺はカードを伏せた。
振り返らなくてもわかる。
かつて同じ泥水をすすり、俺の背中を預けていた男だ。
そして、あの雨の夜、俺に「過去の傷」を刻んで消えた男。
「何の用だ。ここは墓場じゃない。生きた屍が暇を潰す場所だぜ」
俺の言葉に、男は低く笑った。
その笑い声には、かつての友情の欠片も、裏切りの謝罪も含まれていない。
ただ、冷徹なビジネスの響きだけがある。
「あんたにしか頼めない『仕事』があるんだ。
断れば、このカジノごと灰になる。受ければ、あんたの嫌いな『明日』がまたやってくる」
男がテーブルに置いたのは、一枚の写真と、見覚えのある古い鍵。
俺がかつて、ある女に預けたはずの鍵だった。
指先が微かに震える。
それを隠すように、俺は残りのチップをすべて、一番分の悪い数字に賭けた。
「運命ってやつは、よっぽど俺を独りにしたくないらしい」
男の影が、カジノの低い天井に長く伸びる。
俺の捻くれた静寂は、今、音を立てて崩れ去ろうとしていた。

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