Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



路地裏に置き去り

雨は止まない。だが、奴の言葉よりは清潔だ。
薄暗い街灯の下、絡みついてくるのは湿った空気と、
正体不明の「自意識」を振りかざす、救いようのない道化師。
「お前、俺が誰だか分かってんのか?」
「普通、こういう時はさ……」
論理も美学もない、ただのノイズ。
奴が必死に守ろうとしているのは、
砂で作った城よりも脆い、ちっぽけなプライドだ。
男の美学。
それは、掃き溜めのような言葉に、一瞥もくれない強さのことだ。
泥濘を歩く時、いちいち泥に文句を言う奴はいない。
俺は奴の視線を、硝子細工でも見るように透過させた。
言葉を返すのは、弾丸がもったいない。
「……悪いな。俺の辞書には、お前を書き込む余白がないんだ」
踵を返し、闇に溶け込む。
背後で喚き散らす声は、遠ざかる電車の音にかき消された。

#日記広場:日記




Copyright © 2026 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.