Nicotto Town ニコッとタウン

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独歩行:帰還

夜明けの気配が背中に迫る
街が息を吹き返す前に
錆びついた階段を上り
鍵穴に冷えた鉄を差し込む
扉の向こうにあるのは
微かな埃の匂いと
使い古された沈黙だけだ
外套を脱ぎ捨て、椅子に深く身を沈める
濡れた靴を脱ぐとき
ようやく俺は、張り詰めていた皮膚を脱ぎ捨てる
ここでは誰も俺を追わず
誰とも言葉を交わす必要はない
窓の外では、世界が白く塗り潰されていくが
この部屋だけは、夜の残滓を繋ぎ止めている
琥珀色の液体をグラスに注ぎ
氷が溶ける音を、唯一の友として聴く
生き延びたのではない
ただ、今日という一日を
闇の中へ葬り去っただけだ
瞼を閉じれば
この隠れ家さえも、やがて夢の中に消えていく
次の夜が来るまで
俺は、ただの「無」に戻る

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