陽炎の街 2
- カテゴリ:日記
- 2026/05/07 15:52:03
陽が落ちても
路地裏に溜まった熱は 俺の足首にまとわりつく
それは死んだ女の 未練のようでもあった
路地裏に溜まった熱は 俺の足首にまとわりつく
それは死んだ女の 未練のようでもあった
「探さないでと言ったはずよ」
耳元で蘇る声さえ 夜気の中で歪んでいく
陽炎は消えたはずなのに
私の視界は いまだに定まらない
耳元で蘇る声さえ 夜気の中で歪んでいく
陽炎は消えたはずなのに
私の視界は いまだに定まらない
突き当たりの廃ビル
錆びた非常階段を上れば
生ぬるい風が ネクタイを弄んだ
地上を見下ろせば 街灯の列が
血の通わない血管のように這い回っている
錆びた非常階段を上れば
生ぬるい風が ネクタイを弄んだ
地上を見下ろせば 街灯の列が
血の通わない血管のように這い回っている
ポケットの中で 冷えた真鍮の鍵が指に触れた
あの日 陽炎の中に消えた真実が
この鍵ひとつで 暴かれるというのか
あの日 陽炎の中に消えた真実が
この鍵ひとつで 暴かれるというのか
「……あいにくだが、俺は嘘に慣れすぎている」
夜が明けるまで まだ時間はたっぷりある
陽炎の正体を見極めるには
ちょうどいい暗闇だ_
陽炎の正体を見極めるには
ちょうどいい暗闇だ_
鍵が回ったのは、駅の片隅にある、忘れ去られたような小さなロッカーだった。
重い扉を開けると、そこには血生臭い記録も、裏金の束もなかった。
重い扉を開けると、そこには血生臭い記録も、裏金の束もなかった。
あったのは、使い古された一眼レフカメラと、一通の封筒。
中には、あの日、陽炎が一番激しく揺れていた海辺で撮った、一枚のモノクロ写真。
中には、あの日、陽炎が一番激しく揺れていた海辺で撮った、一枚のモノクロ写真。
「……馬鹿な女だ」
写真の中の彼女は、眩しそうに目を細めて笑っている。
その背景で揺れる景色は、今夜の俺の視界と同じようにひどく歪んでいた。
封筒の底には、走り書きのメモ。
『これを見ているということは、あなたはまだ、あの街の熱の中にいるのね』
その背景で揺れる景色は、今夜の俺の視界と同じようにひどく歪んでいた。
封筒の底には、走り書きのメモ。
『これを見ているということは、あなたはまだ、あの街の熱の中にいるのね』
彼女が守ろうとしたのは、組織の秘密ではなく、
俺の中にわずかに残っていた「人間としての体温」だったのかもしれない。
俺の中にわずかに残っていた「人間としての体温」だったのかもしれない。
ただ、この写真に焼き付いた陽炎が、胸の奥でいつまでも消えずに揺れている_
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