Nicotto Town ニコッとタウン

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孤狼のポートレート4

錆びついたトタン屋根を、雨粒が執拗に叩いている。
無人の待合室。電球は寿命を迎え、死に際のような瞬きを繰り返していた。
ベンチの端に腰を下ろすと、古い木のきしむ音が静寂を切り裂く。
ここは、どこへも行かない人間が、どこからも逃げてきた人間とすれ違う場所。
時刻表は色あせ、約束された「未来」など、最初から存在しないことを告げている。
奴らは今頃、暖かい部屋で肩を寄せ合い、
「我ら」という幻想の中で、見えない壁に守られているのだろう。
だが、その壁の内側に、この研ぎ澄まされた静寂があるか?
自分自身の鼓動だけが、時を刻むこの剥き出しの瞬間が。
湿った風が吹き込み、雨の匂いが肺を充たす。
世界がどれほど騒がしく、どれほど汚れた祈りに満ちていても、
この四角い空間だけは、俺の孤独を何者にも侵させない。
レールの先は暗闇に消えている。
行き先を告げる看板(サイン)もない。
だが、それでいい。
道があるから歩くのではない。俺が歩く場所が、道になる。
遠くで踏切の警報機が、虚しく夜を刻み始めた。

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