Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



薄いインクと、空っぽな頭(あたま)


深夜のファミリーレストラン、あるいは深夜のSNSの片隅。
お前たちは、頼みもしない「総括」と「採点」をはじめようとする。
男は腕を組み、知的な眉間(みけん)の皺をこれみよがしに作り、
女は斜に構え、すべてを見透かしたような乾いた笑みを浮かべる。
「要するに、この作品の構造はね」
「解ってない人が多すぎるのよ」
お前たちが吐き出す言葉の羅列、その並べられた文字の幼さに、
俺はただ、胸の奥が冷えていくのを感じていた。
笑わせるな、おめでたい採点官(レフェリー)ども。
お前たちの書く文面には、決定的なものが欠けている。
――そう、自分の頭で絞り出した、本物の「脳みそ」の形跡だ。
どこかの誰かが書いたレビューの切り貼り。
賢そうに見えるカタカナ語の、間違った乱用。
中身のなさを誤魔化すための、無駄に長いだけの主述の捩れ(ねじれ)。
お前たちは「批評」しているつもりかもしれない。
だが、その実態は、言葉の重さに振り回されている哀れな操り人形だ。
一見、高尚に見えるその文章の皮を一枚めくれば、
そこにあるのは、幼稚な自己顕示欲と、空っぽな思考の空洞だけ。
生み出す苦しみも、表現という名の血の滲むような戦いも、
何ひとつ経験したことのないお前たちが、
安全な外野席から、他人の魂の結晶を「上から目線」で値踏みする。
伝票を掴み、席を立つ。
テーブルに残されたお前たちのスマホの画面には、
今もなお、拙(つた)ない論理の破綻した、哀れな文面が踊っている。
評論なら、お前たちと同じ低解像度な仲間内で褒め合い、傷つけ合っていろ。
お前たちの浅い脳みそから搾り取られた、濁ったインクなど、
この冷酷な世界の真実を、一文字だって記述できやしない。
店の重いドアを押し開け、深夜の冷気に身を晒す。
背後で、また新しい「浅い言葉」が紡がれる気配がした。
おい、評論家気取りの操り人形(パペット)ども。
お前たちが拙い文面で世界のすべてを裁いた気になっている間、
俺は言葉を捨て、ただの沈黙とともに、
この言葉の通じない本物の夜を、深く、深く、沈んでいくだけだ。_

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