Nicotto Town ニコッとタウン

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かえらない森

1
もう どこへもゆくことができない
深いみどりは 夜の底のように暗く
ぼくのからだを つめたく包みこむ
ここは 光のわすれていった終着駅
耳をすましても 風の音さえ絶えはてて
ただ ぼくの胸のふるえだけが響いている
すべては失われ すべてのひとは去り
ぼくはひとり 生きる形をなくしていた
2
霧のむこうから 白い馬がやってくる
けれどその姿は ひどく痩せて
悲しい眼をして ただじっとぼくを見てゐる
なぐさめの言葉など はじめから持っていないのだ
ぼくがいくら なまえを呼んでも
白い馬は こたえてはくれない
ただ ぽつねんと影を落とし
ぼくの孤独を 鏡のように映しているばかり
3
みどりの葉から ひとしずくの涙がこぼれ
夢の世界は 永遠の冬のように冷えてゆく
たすけて、と叫ぼうとした喉はかわき
ぼくは自分の影のなかに 深く沈んでゆく
めざめる間際の あの灰色につぶれた光のなか
白い馬は 二度と戻らない足どりで去っていった
あとに残されたのは ちぎれた胸の痛みと
もうだれも愛さないという つめたい誓いだけ
4
ぼくは今も 暗い部屋の片すみにすわり
あの深いみどりのなかの 絶望を想う
あの白い馬は ぼくが殺してしまった
けっして取り戻せない あしたの姿だったのだろう_

#日記広場:小説/詩




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