ひとり弾くソナチネ
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/07/25 16:13:27
ピアノの音が しづかに溢れて
誰もゐない森へ 流れてゆく
パステル画のやうな 淡い青空
窓辺のソナチネは 風に揺れる
誰もゐない森へ 流れてゆく
パステル画のやうな 淡い青空
窓辺のソナチネは 風に揺れる
水色のガラスのむこう ひそやかに
一羽の小鳥が 拍子(リズム)をとり
僕の失つた やさしい歌を
木々の梢へと はこんでゆく
一羽の小鳥が 拍子(リズム)をとり
僕の失つた やさしい歌を
木々の梢へと はこんでゆく
おまへはあの しろい夏雲のなかで
鍵盤のはねる音を 聴いてゐるのか
桃色のリボンを ひるがえしながら
鍵盤のはねる音を 聴いてゐるのか
桃色のリボンを ひるがえしながら
けれど和音(コオド)は 空へと消えて
僕はただ 古い窓枠に手をかけ
あきらめ切つた 夏をみつめてゐる
僕はただ 古い窓枠に手をかけ
あきらめ切つた 夏をみつめてゐる
――古い窓をひらいても、そこには誰もゐない森と夏雲があるばかり。ピアノの音だけが、静かに光つてゐた。



























