Nicotto Town ニコッとタウン

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ひとり弾くソナチネ


ピアノの音が しづかに溢れて
誰もゐない森へ 流れてゆく
パステル画のやうな 淡い青空
窓辺のソナチネは 風に揺れる
水色のガラスのむこう ひそやかに
一羽の小鳥が 拍子(リズム)をとり
僕の失つた やさしい歌を
木々の梢へと はこんでゆく
おまへはあの しろい夏雲のなかで
鍵盤のはねる音を 聴いてゐるのか
桃色のリボンを ひるがえしながら
けれど和音(コオド)は 空へと消えて
僕はただ 古い窓枠に手をかけ
あきらめ切つた 夏をみつめてゐる

――古い窓をひらいても、そこには誰もゐない森と夏雲があるばかり。ピアノの音だけが、静かに光つてゐた。

#日記広場:小説/詩




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