Nicotto Town ニコッとタウン

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月光のなかの砂利(すな)


だれもゐない砂浜に 夜はしづかに降りてきて
波の言葉は かすかな囁きをくりかへす
青い月光が 寄せてはかへる水の面(も)に
まるで傷ついた記憶のやうに 揺れてゐる
私はそこに ひとつの古い夢を置いたのだつた
風がすぎてゆけば すべては消えてしまふのに
私の心はまだ あかるいあの方の面影を
このつめたい砂のなかに さがしてゐる
月よ おまへはすべての忘却を知つてゐるのか
それとも 届かない祈りをあざ笑ふのか
揺れる光は ただ波のうえで踊るばかり
影のない渚を 私はひとり歩いてゆく
どこかで鳴つてゐる かなしいオルゴールのやうに
月光はただ 私の足跡を白く濡らしてゐる

#日記広場:小説/詩




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