Nicotto Town ニコッとタウン

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仄暗(ほのぐら)き夕暮れに


日暮れは、ひんやりと僕の肩を包む
街の暑さは、もう遠い記憶の底なのに
この高原の静けさが、かへつて僕を責めるのだ
僕はひとり、深い青に染まる林のなかにゐる
風は冷たく、白樺の梢を鳴らして過ぎゆく
おまへがここにゐないといふ、ただそれだけのことが
これほどまでに僕の胸を締めつけるとは
――あふれる切なさに、僕は立ち尽くしてゐる
むらさきの闇が、山の端(はし)から降りてきて
遠い都会(まち)の、ともしびを想ふ
僕は誰にも届かない、小さな歌をうたはう
この孤独な夕暮れの、冷たい空気のなかで
閉ざされた窓のなかで
手紙を書き終へても、もう届く宛て(あて)はない
僕はただ、ひんやりとした夜気(やき)のなかで
小さなランプの、ふるへる火影(ほかげ)を見つめてゐる
窓の向かうには、もう真っ暗な高原の森
おまへはもう、僕の呼ぶ声にも答へてくれない
都会(まち)の暑さから逃れて、ここに辿り着いたのに
この深い静寂(しじま)は、僕の哀しみを映す鏡のやうだ
あふれる涙が、インクの文字を滲ませてゆく
硝子(ガラス)の向かうで、夜の風がそつと囁くけれど
僕はもう、窓を開けることもしないだらう
――ランプを消せば、すべては闇に還るのだ

#日記広場:小説/詩




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