仄暗(ほのぐら)き夕暮れに
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/08/01 23:23:14
日暮れは、ひんやりと僕の肩を包む
街の暑さは、もう遠い記憶の底なのに
この高原の静けさが、かへつて僕を責めるのだ
僕はひとり、深い青に染まる林のなかにゐる
街の暑さは、もう遠い記憶の底なのに
この高原の静けさが、かへつて僕を責めるのだ
僕はひとり、深い青に染まる林のなかにゐる
風は冷たく、白樺の梢を鳴らして過ぎゆく
おまへがここにゐないといふ、ただそれだけのことが
これほどまでに僕の胸を締めつけるとは
――あふれる切なさに、僕は立ち尽くしてゐる
おまへがここにゐないといふ、ただそれだけのことが
これほどまでに僕の胸を締めつけるとは
――あふれる切なさに、僕は立ち尽くしてゐる
むらさきの闇が、山の端(はし)から降りてきて
遠い都会(まち)の、ともしびを想ふ
僕は誰にも届かない、小さな歌をうたはう
この孤独な夕暮れの、冷たい空気のなかで
遠い都会(まち)の、ともしびを想ふ
僕は誰にも届かない、小さな歌をうたはう
この孤独な夕暮れの、冷たい空気のなかで
閉ざされた窓のなかで
手紙を書き終へても、もう届く宛て(あて)はない
僕はただ、ひんやりとした夜気(やき)のなかで
小さなランプの、ふるへる火影(ほかげ)を見つめてゐる
窓の向かうには、もう真っ暗な高原の森
僕はただ、ひんやりとした夜気(やき)のなかで
小さなランプの、ふるへる火影(ほかげ)を見つめてゐる
窓の向かうには、もう真っ暗な高原の森
おまへはもう、僕の呼ぶ声にも答へてくれない
都会(まち)の暑さから逃れて、ここに辿り着いたのに
この深い静寂(しじま)は、僕の哀しみを映す鏡のやうだ
あふれる涙が、インクの文字を滲ませてゆく
都会(まち)の暑さから逃れて、ここに辿り着いたのに
この深い静寂(しじま)は、僕の哀しみを映す鏡のやうだ
あふれる涙が、インクの文字を滲ませてゆく
硝子(ガラス)の向かうで、夜の風がそつと囁くけれど
僕はもう、窓を開けることもしないだらう
――ランプを消せば、すべては闇に還るのだ
僕はもう、窓を開けることもしないだらう
――ランプを消せば、すべては闇に還るのだ


























