霧のなかの出発
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/08/01 23:24:55
夜が明けても、光は僕を照らさない
ただ白い霧が、すつぽりと世界を包んでゐる
僕はランプを消し、冷え切つた窓を閉めて
届くことのない手紙を、そつとポケットに仕舞ふ
ただ白い霧が、すつぽりと世界を包んでゐる
僕はランプを消し、冷え切つた窓を閉めて
届くことのない手紙を、そつとポケットに仕舞ふ
すべては霧の彼方に、淡く消え去つてゆく
おまへへの哀しみも、あの都会(まち)の記憶も
僕はひとり、濡れた草を踏んで歩き出す
どこへ行くあてもない、この白い朝のなかに
おまへへの哀しみも、あの都会(まち)の記憶も
僕はひとり、濡れた草を踏んで歩き出す
どこへ行くあてもない、この白い朝のなかに
振り返れば、僕の過ごした小さな小屋も
またたく間に、霧の海へと沈んでゆく
――さようなら、僕の愛した幻よ
僕はただ、風の鳴る方へ、足を進めてゆこう
またたく間に、霧の海へと沈んでゆく
――さようなら、僕の愛した幻よ
僕はただ、風の鳴る方へ、足を進めてゆこう
孤独のゆくへ
霧のなかをどこまで歩いても、景色は変わらない
ただ冷たい滴(しずく)が、僕の頬を濡らすばかりだ
都会(まち)の熱さも、あの夜のランプの灯火(ともしび)も
いまはもう、遠い夢のやうに希薄(うす)れてゆく
ただ冷たい滴(しずく)が、僕の頬を濡らすばかりだ
都会(まち)の熱さも、あの夜のランプの灯火(ともしび)も
いまはもう、遠い夢のやうに希薄(うす)れてゆく
おまへの名前を、僕はもう呟(つぶや)かない
この白い孤独のなかでは、言葉さえも凍てついて
ただ僕の規則正しい足音だけが
誰にも聴かれることなく、霧の底に響いてゐる
この白い孤独のなかでは、言葉さえも凍てついて
ただ僕の規則正しい足音だけが
誰にも聴かれることなく、霧の底に響いてゐる
どこへ辿り着けば、この寒さは終わるのだらう
ふり返っても、前を見ても、ただ白まぶしい闇
――僕はひとりの、果てしない旅人だ
この冷たい孤独を、いつまでも道連れにしながら
ふり返っても、前を見ても、ただ白まぶしい闇
――僕はひとりの、果てしない旅人だ
この冷たい孤独を、いつまでも道連れにしながら


























