Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



影の街にて


街の灯りがすり減った靴底を濡らす
誰かがルールだと叫ぶ声が聞こえるが風がかき消す
正義も悪も同じ色の泥に沈む
振り返るな
振り返ったところでそこには誰もいない
ただ苦い煙の匂いだけが現実だ


レコードの針が鳴らす擦れたノイズ
サックスの悲鳴が歪んだ空気に溶ける
勝手に語れ
俺の歩き方は俺が決める
氷の溶けたグラスを見つめ男は呟いた
どうせ全員どこかでくたばるさ
乾いた風が吹き抜け笑い声だけが残る
汗が滲むシャツの襟を乱暴に引っ張る
カウンターの奥で燻る灰皿の煙
あいつらは正しさに縛られて動けない
俺はただこの音に身を委ねるだけだ
重いベースが心臓の鼓動を狂わせる
答えなど端から求めていない

生き残るために必要なのは理屈じゃない
この渇きを受け入れる覚悟だけだ
冷めきった椅子の背もたれに体を預けた

外はまだ眩暈がするほどの白い光
誰もが何かを演じているこの街で
ただ静かに流れるブルースだけが本物だった_

#日記広場:小説/詩




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