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月明かり、心の旅路(哀歌)


月明かりは 冷たい硝子(ガラス)の破片のようで
わたしのなかの いちばん哀しい場所を照らす
あの日 あれほど優しく口ずさんでいたはずの
小さな歌のひとふしを わたしはもう忘れてしまった
白樺の林をぬけて 夜の風が吹きすぎるとき
かすかに鳴るのは 失われた記憶のオルゴールか
思い出そうとすればするほど その旋律は遠ざかり
青い影のなかに 静かに沈んでいってしまう
旅人よ 帰る家などどこにもないのだと
夜の鳥は 低く寂しげに啼きかわしている
風に吹かれるままの 心の足跡をたどりながら
わたしはただ 途方に暮れて立ち尽くす
あのなつかしい歌を いつのまに失くしたのだろう
月光が 音もなくわたしの涙を凍らせるまで_

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