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8月の悲歌(エレジー)


真夏の夜の湿度が
トランペットのピストンを
重く、鈍く濡らしていく
8月の風は
熱を孕んだまま
おれの乾いた唇を通り過ぎる
クール・ジャズという名の
冷徹な仮面を被りながら
胸の奥では 烈火が燻(くす)ぶっている
照りつける太陽から 逃れるように
地下のジャズ・クラブの暗闇へ
おれは深く 潜りこむ
誰もが狂騒に 酔いしれる季節
おれだけが 氷の溶けたグラスを見つめ
去りゆくものの 幻影を追っている
手に入れたものの数ではなく
失ってきたものの 美しさのことだ
燃え盛る炎の中にではなく
すべてが燃え尽きたあとの 灰の白さにある
かすれたミュートの音色で 吹き鳴らそう
狂おしい夏を 葬り去るための調べ
8月の歌(オーガスト・ソング)

#日記広場:小説/詩




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