必見必聴! Angine de Poitrine
- カテゴリ:音楽
- 2026/08/09 20:27:28
まあ驚いた。とにかく動画サイトで観て聴いてください。
格好良さとバカげた面白さと超絶技巧とユーモアの壮絶な調和!
ここまで素晴らしいロックデュオを知らなかった自分を殴りたい。
近い音楽というと……CAN、ザッパ、アレン在籍時のゴング、日本のRUINSか。
まず二人の衣装(仮装)が最高。ピーターガブリエルやアレンの正統継承者。
333歳の宇宙人という設定で、ご挨拶があるのには大爆笑しました。
音楽性は超絶技巧変拍子プログレ+ヘドバン系ヘヴィロックでもあり、
エレクトロとミニマルも、ライヒ的モアレ音像も満載という幕の内弁当。
前衛不条理演劇の如きステージアクションに笑ううちに身体が躍り出す。
ダブルネック担当のクン・ド・ポワトリーヌはエフェクトを駆使し、
ベース、ギター、電子音をループさせ多層的に重ねるうえ、
多フレット化したギターでマイクロトーナル的アプローチも随所で聴かせる。
ドラムのクレック・ド・ポワトリーヌも凄いリズム感の持ち主です。
複数のルーパーが生み出すループとクンのフレーズと違和感なく合わせ、
ロック的なソリッドな疾走感をこれでもかと演出。演技も素晴らしい。
黒と白の水玉を基調とした衣装のシュールさも相まって、
聴くもの観るものを別次元に誘う傑作楽曲の数々。繰り返します、必見必聴。
レッチリ好きもケミカルブラザーズ好きもVTuber好きも大丈夫。凄いですよ。
【長大追記】Angine de Poitrine ブレイクの理由を私なりに。
【1】伝統的かつ斬新さもあるトータルコンセプトの秀逸さ
彼らがTシャツとジーンズで演奏してたらここまでウケなかった。
宇宙人という設定は、デヴィッドボウイやデヴィッドアレンに始まり、
スペースロックのホークウインド、サン・ラ等々伝統的な手法。
キュビズム/ダダ/シュールの手法も盛り込んだ衣装と振る舞いは、
日本の特撮が生んだ造型(ケムール人、マグマ大使etc)を継承し、
ウォーホル、岡本太郎、草間彌生といったポップアート的要素もバッチリ。
コレがウケたんでしょうね。世界が苛烈な現実と対峙せねばならぬ現代、
一服の清涼剤、合法ドラッグ的高揚感や浮遊感を求める人が増えていて、
バカバカしい仮装と演劇要素が爽やかに感じられたのでしょう。
クーの衣装で藤田和日郎氏の『からくりサーカス』を思い出しました。
ヒロインの操るマリオネット『あるるかん』をご存じの方は多かろう。
道化、トリックスターとしてのトータルコンセプトの勝利でしょう。
【2】変拍子ロックの伝統継承
「ジェントルジャイアントの遺伝子操作を誤って誕生した」という評を見た。
異物混入的違和感とユーモアの同居した変拍子も、一部のロックの伝統です。
リズムトリックに「あれ?」と思ううち、定型ビートが現れる爽快感は格別。
サムラ・ママス・マンナ、是巨人(吉田達也)、ティポグラフィカ(今堀恒雄)、
アルタードステイツ(内橋和久)等のハイテクプログレ系前衛ロック、
シュラック(スティーブ・アルビニ)を思わせるソリッドな構築も。
ルーパー多用で生まれる音楽は『ディシプリン』期クリムゾンと類縁性が高い。
エフェクティブな奇天烈サウンドはエイドリアン・ブリューとともに、
RATMのトム・モレロも思い出させます。とにかくロックの歴史がテンコモリ。
【3】デュオの生み出すコミュニケーション
バンドの最小単位、デュオというのは非常にやりがいのある形態です。
生で音楽を創り出していく過程をライブで届けているから、
チケット入手が困難なほどの熱狂を生み出しているのでしょう。
幾つかの動画では機材トラブル時の様子も垣間見られます。
クーの出力が小さい、クレックのバスドラ周りがトラぶった……
こうしたシーン、私には物凄く興味深く、楽しんでいます。
造り物の世界を支える生身の彼らの姿にわけもなく共感するのです。
また、曲間の演技/会話における微妙な齟齬、スタンスの違いも嬉しい。
どれだけハイテク使おうと、人間が創り上げる音楽の強靭さの勝利でしょう。
【4】マイクロトーナルに関して
この部分を評価する方々が多く、私は違和感を覚えています。
音階とピッチというものには一家言もニ家言もあるので、端的にいうと、
彼らの用いるマイクロトーナルは楽曲のスパイスに過ぎないと思っています。
この件を突き詰めると中東/インド音楽を代表とするグローバル音楽、
西洋平均律のトーナリティによる(一種の)『洗脳』教育、
協和/不協和の民族的定義などに発展して、収拾がつかず喧嘩になるので中断。
四分音(半音の半分)を織り込んだリフ、フレージング、和音には、
調子っぱずれな愉快さが感じられますよね。それが彼らの主な狙いでは。
フレッド・フリス『ハロー・ミュージック』初聴取時の感動を思い出す。
付け加えるとオーネット・コールマンとの類縁性も重要だと感じます。
ハーモロディックの生み出す「全ての音が許容される」快感が、
クーの操る多フレットギターから生まれるフレーズにも濃厚だと思います。
【5】レイブ文化/EDMやエレクトロとの親和性
プロディジー、ケミカルブラザース等々(Perfumeを入れてもいいかな)。
お客さんを楽しませるだけでなく参加させ楽しませるエンターテイメント、
この要素もふんだんに。ブレイクの入れ方も絶妙です。
多重ループがあるものの、さほど重層的ではないシンプルなリフとビート、
どの曲でも必ず強力なロックビートが現れ、お客さんが狂喜する。
ロックの基本であるシンプルなノリは、一種の原点回帰かもしれない。
【6】メッセージ性が皆無であること
変調したヴォイスで一応しゃべりますけど、別段意味はない。
曲名もなにがなにやら。曲間でもときおり奇声を発するだけ。
(二人が『カバディ!』と連呼してスクワットするシーンで爆笑しました)
ラップ/ヒップホップの対極、反覇権主義も食糧/資源安全保障も出てこない。
だって宇宙人なんだから。敵意なく、地球人と対峙して、彼らのやり方で、
「ボクらはコウイウ存在だよー」と示すだけ。この素晴らしさは格別です。
ゴミは正しく分別。消費期限の短いものを買おう。夜間もエアコンをつけて。
熊本への募金受付中。気候の急変にご注意。日本もNPT批准しろ。
こうした清く正しく美しい御託にウンザリした人は、彼らを聴きましょう。


























アベイユさんのお友達でしたか。ヘンテコ音楽しか聴かぬ爺ですがよろしくお願いいたします。
黒と白のポルカドットだけで構成したビジュアルも仕草も異次元の愛らしさですね。
水分補給用のボトルも宇宙をイメージしたデザインなのが素晴らしい。
楽曲全体を聴いて思い出したのは、ディアマンダギャラスとJPジョーンズのデュオです。
あのコラボはツェッペリンの異様なヘヴィネスにジョンジーが多大に貢献していたこと、
彼の前衛性を世に知らしめた傑作だと思います。動画もあるのでお勧めです。
プログレサークルのものなので、アベイユさんからユースケさんのお名前を聞いて以来、存じ上げていましたが(以前73年のプログレベスト的なセレクションをしていただきました)コメントするのは初めてです。
ドラマーのクレックさんは口に見えるところが目なんだそうで、肩にもパッドしていそうです。水分補給、確かにそうですね^^
初めまして。ご覧くださり感謝。
アルバムでは彼らの素晴らしさを十全には伝えきれないので、生の映像はマストですね。
水分補給までパフォーマンスになってるのもお見事です。
日本初来日のフジロックのライブ映像があったので見てみました。
知ったのはつい最近ですが、
ギターが注目されるなか、ドラムスもタイト、
水たま模様の仮装もおもしろいですね^^ KEXPの再生回数のすごさにも納得ですw