夢のなかの乗客
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/08/16 10:33:38
遠い雪の夜の 底からひびく汽笛の音(ね)は
まるで私をよぶ あなたの声のやうに切ない
私はひとり 青い寝台のくらがりのなかで
あたたかい幻につつまれるやうに 眼を閉ぢる
まるで私をよぶ あなたの声のやうに切ない
私はひとり 青い寝台のくらがりのなかで
あたたかい幻につつまれるやうに 眼を閉ぢる
ガタゴトと震える 昭和の夜汽車のまどわく
窓のそとは はげしい白のあらしだつたらうか
けれど夢のなかで あなたはしづかに微笑み
私の凍えた手を そつと包みこんでくれる
窓のそとは はげしい白のあらしだつたらうか
けれど夢のなかで あなたはしづかに微笑み
私の凍えた手を そつと包みこんでくれる
あんなに遠くへ 行ってしまつたはずのひとが
この狭い二段寝台の すぐとなりに腰をかけて
すぎてゆく駅のともしびを 一緒に見てゐる
この狭い二段寝台の すぐとなりに腰をかけて
すぎてゆく駅のともしびを 一緒に見てゐる
汽笛がまたひとつ 闇のむこうで長く尾をひき
私は夢のなかで 切なくあなたに逢つてゐる
もうどこへも行かないでと 心で願いながら
私は夢のなかで 切なくあなたに逢つてゐる
もうどこへも行かないでと 心で願いながら

























