Nicotto Town ニコッとタウン

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追憶の駅


雪はしんしんと 古い硝子窓に降りつもり
汽車はただ 独りきりの私をのせて走る
いまも耳の奥にのこる あの哀しげな汽笛は
失はれた昭和の 夜のまぼろしだつたらうか
眼を閉じれば そこはいつでも夢の国
あなたは昔のままの やさしい姿で佇み
何も言わずに 私の手を握りしめてくれる
そのぬくもりだけが いまの私のたからもの
けれど汽車が 夜明けの凍える野原にさしかかるころ
汽笛の音とともに 夢はあわく消え去つてゆく
私はまた 独りきりの旅人に立ちかえる
いまはもう走らない あの青い夜行列車
私は今夜も 雪のふる音をききながら
夢のなかのあなたに逢いに 旅立つのだつたらう

#日記広場:小説/詩




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