風の森によせて
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/08/29 10:50:54
僕はまた ひとりで帰つて来たけれど
なにひとつ語らぬ うつろな風の森よ
梢をわたる かなしいソナチネのやうに
遠い幼い日のあしおとが いまもきこえる
なにひとつ語らぬ うつろな風の森よ
梢をわたる かなしいソナチネのやうに
遠い幼い日のあしおとが いまもきこえる
ごらん 冷たい月明かりのしづくが
ぬれた僕のまぶたに そつとこぼれるのを
あんなに輝いてゐた みどりの季節は
夜の青いひかりのなかに しづかに消えた
ぬれた僕のまぶたに そつとこぼれるのを
あんなに輝いてゐた みどりの季節は
夜の青いひかりのなかに しづかに消えた
風はすぎてゆく 暗い木立のあひだを
帰らない僕の時間を ささらさらと笑ひながら
帰らない僕の時間を ささらさらと笑ひながら
もう二度と あの光はもどらないのに
僕はただ 草の上に身をよこたへ
凍えさうな月をあふぎ 佇んでゐるのだ……
僕はただ 草の上に身をよこたへ
凍えさうな月をあふぎ 佇んでゐるのだ……




























