Nicotto Town ニコッとタウン

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風の森によせて


僕はまた ひとりで帰つて来たけれど
なにひとつ語らぬ うつろな風の森よ
梢をわたる かなしいソナチネのやうに
遠い幼い日のあしおとが いまもきこえる
ごらん 冷たい月明かりのしづくが
ぬれた僕のまぶたに そつとこぼれるのを
あんなに輝いてゐた みどりの季節は
夜の青いひかりのなかに しづかに消えた
風はすぎてゆく 暗い木立のあひだを
帰らない僕の時間を ささらさらと笑ひながら
もう二度と あの光はもどらないのに
僕はただ 草の上に身をよこたへ
凍えさうな月をあふぎ 佇んでゐるのだ……

#日記広場:小説/詩




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