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「星の王子様」を読んで

この本を読んで一番驚くのが、王子様が決定的に孤独であることなんだけど、みんな違うのかな?

 もちろん王子様に対人的な交流がないわけではない。むしろ王子様のストーリーには常に他者が存在する。

 けれども、王子様の愛情は何というか相互交流ではない。薔薇は薔薇で王子様に決定的な個別性を感じ、タイムラグあれど王子様もそれを悟る。愛というのは匿名的かつ凡庸な何かについて時間を積み重ねる中で、匿名的でも凡庸でもない唯一の火代替的なものにしていくプロセスだと、改めて語ってくれる。けれども薔薇は目の前にもういない。王子様の愛情には瞬間と過去だけが合って日常がない。

そうして、そのことは、ぼくーと王子様の関係にあっても同じで、王子様が「ぼく」に友情を感じているような描写はない。ぼくはあくまで王子様の世話をして、王子さまはそれを享受する。王子さまは「ぼく」に目撃され続ける。そして、僕はその日々を忘れがたく思っている。またしても、過去と瞬間にだけある愛情が反復されている。王子さまは「薔薇は僕のことなんかちっとも好きじゃなかった」というけれど、僕ー王子様の関係性を省みれば、僕にとっては「お前が言うんかい」と言いたくなるんではないか(もちろん「僕」はそんなこと言わないんだけど)。

 それを思うときこのサンテグジュペリという人が好きな理由が私の中ですごくエモい感じでこみ上げる。この感覚、夜間飛行の夜と同じ。

夜間飛行という小説が大好きだ。ゆえにゲランの香水ボルドニュイも好きだし、文房具屋の試しが気コーナーではボルドニュイと書く痛いやつになるくらいは好きだ。でもその小説は「夜間飛行で遭難しちゃった、墜落を待つばかりかもしれない」というその飛行の風景の美しさを書いた作品だ。それは瞬間の中にしか真実と美と愛がないというジワリとした確信を与える(私には)

  つまり、星の王子さまは決定的に「愛」の話であるにも関わらず、人と人との間に生まれて持続する日常という意味での愛ではないのだ。かつてあって今はない、瞬間にはあるけど状態ではない、とんちみたいな愛なのだ。

 こういう感覚を持っている人の組合とかあればいいのに。愛とはいつも自己循環的で対幻想にしか過ぎなくて、だからこそ恒常的かつ幻想だ みたいな考えを「あり」だと思う世界にちょっと行ってみたい。

 

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