逃亡者
- カテゴリ:日記
- 2026/09/04 14:12:38
ねえ、聞いてくれませんか。あなたなら、きっと分かってくれる。
私はさっきから、この薄暗い坂道を、まるで世間から追われた犯罪者のような顔をして歩いているのです。
昼間、あの盛りのついた獣のように、浅ましい欲望を剥き出しにして群れている人間たちを見ていたら、もう、たまらなくなってしまって。手元の端末に流れる、あの自己顕示と物欲に塗れた卑しい文面を思い出すだけでも、胸がむかむかと悪くなって、私はとうとうこの夜の闇へ、ガス灯の頼りない光の陰へと逃げ出してきたのです。
昼間、あの盛りのついた獣のように、浅ましい欲望を剥き出しにして群れている人間たちを見ていたら、もう、たまらなくなってしまって。手元の端末に流れる、あの自己顕示と物欲に塗れた卑しい文面を思い出すだけでも、胸がむかむかと悪くなって、私はとうとうこの夜の闇へ、ガス灯の頼りない光の陰へと逃げ出してきたのです。
私は彼らを「下品だ」と蔑んだ。自分だけは、この冷たい月光に祝福された、清らかな「心の逃亡者」なのだと、澄ました顔をしていた。
だけど、ああ、私はなんて嫌な、救いようのない男なのでしょう!
あなたには、隠さずにすべてを白状してしまいます。
あなたには、隠さずにすべてを白状してしまいます。
本当は、分かっているのです。私はただ、本を少しばかり読んで、言葉の玩具をいじくり回せるだけの、薄っぺらい「知識人」の傲慢さに酔っているだけなのです。
恥も外聞もなく、泥を這ってでも必死に生きようとする彼らの「生の熱量」を、私はただ、自分の冷酷さゆえに仲間入りできないからといって、高尚な孤独という言葉で粉飾し、冷笑していただけなのです。
恥も外聞もなく、泥を這ってでも必死に生きようとする彼らの「生の熱量」を、私はただ、自分の冷酷さゆえに仲間入りできないからといって、高尚な孤独という言葉で粉飾し、冷笑していただけなのです。
ほら、足元を見てください。さっきから一匹の黒い野良犬が、私のこの、教養という名の安物の衣をまとった自意識の塊を、軽蔑しきった濁った眼で見つめている。
お前は何様のつもりだ、と。
他人の浅ましさをなじるお前自身が、一番不誠実で、卑怯な、命の抜けた幽霊ではないか、と。
他人の浅ましさをなじるお前自身が、一番不誠実で、卑怯な、命の抜けた幽霊ではないか、と。
ねえ、そうでしょう? 私は彼らを恐れているのではない。必死に生きる彼らに嫉妬し、それを認められない我が身の傲慢さに、いま、狂いそうなほどの罪悪感を覚えているのです。
この傲慢さに気が付きながらも、やはりあの浅ましい喧騒には死んでも戻れないという、私のこの救いようのない卑怯さを、どうか、あなただけでも笑って、許してはくれないでしょうか。
この傲慢さに気が付きながらも、やはりあの浅ましい喧騒には死んでも戻れないという、私のこの救いようのない卑怯さを、どうか、あなただけでも笑って、許してはくれないでしょうか。
























