猟奇殺人事件 1(仮題)
- カテゴリ:自作小説
- 2026/09/13 13:47:46
山裾に建つ古い日本家屋で、死体が発見されたのは1月の終わりだった。
【…身元はすぐに判明。七十八歳の日本画家矢島透。美人画の大家として知られた男性です。…発見したのは画材店の店主。 「久しぶりに大作を描くと仰っていて、依頼されたパネルを届けにあがったのですが、お返事がなくて・・・」 警察が踏み込んだとき、老人はアトリエの中央に仰向けで倒れていたそうです。
鑑識の結果、死因は眼窩から脳への刺創と判明。刃物は左の眼窩から深く刺さり、脳まで達しており…アイスピックのような細く鋭利な凶器が使われたと思われますが被害者自宅及びその周辺からはまだ発見されていません。
「他殺の可能性が高いのですが、奇妙なことが1つあったわけですよね。」テレビのコメンテーターが話す。 「眼窩にあったであろう眼球は当の遺体の両手が握っていたそうで」 「爪の内側に入り込んでいた血液などから、本人が生前に自分で眼球を抉り出した可能性が高いと・・・」
警察は、同居していた女性がなんらかの事情を知っているとして捜索中です。。 女性は長年にわたり画家の専属モデルをしていましたが、事件後行方不明。 若い男性の怒声が画家の家から聞こえることが時折あったという近所の住人の証言もあり、警察はそちらの捜索も進めています・・・】
「センリ、聞えた?テレビでセンリの住んでた村で殺人事件があったって、今ニュースでやってたわよ」「猟奇的だよね~!両目、自分で抉ったって狂ってるわ。ね、聞いてる?」
「大声出すなよ。頭痛いんだ」 「二日酔いでしょ。いや、三日酔い?ひどい顔色になってるよ。仕事辞めたって聞いたけど、何かあったの? 何の仕事か知らないけど、辞めちゃったんだからのんびりしたらいいじゃない。美味しいもの食べてさ。でも飲み過ぎは良くないよ」
「イヤな上司、殺してきた・・・って言ったらどうする?」 「あははは!その細っこい腕で? あんたよりその辺の野良猫のほうが強いと思うわ」
「ミキちゃん、哀れな野良猫のオレに優しくしてくれてありがとうにゃん。」
「・・・一応、彼氏だと思ってるよ。自分のこと何も話してくれなくても。いきなり着の身着のままでうちの狭いアパートに転がり込んできたとしても」
「優しいよね、ミキちゃん」
「・・・でも、何も話してくれないで、またどこかに行ってしまって連絡もつかないなんて、やめて欲しい。そういうの、一番傷つく。いつか、ちゃんとツライことも話して欲しい」 「・・・にゃあ」
「それ、どっちの意味?」
「…吐き気してきた。トイレ行ってくる」
吐いた後、ひどく疲れて畳に転がった。ミキが毛布と枕を持ってきてくれた。
冷えた古い板の間で、毛布などなくただ丸まって寒さを忘れようと頑張った経験なんてミキはないだろうな・・・と思う。随分と高いところにある小さな窓からの明かりは蔵の内部を照らすには全然足りなくて「外」の様子を気にすることすらなくなっていた、あの頃。
薄闇と真の闇の狭間に時折、食事が運ばれた。運んでくれたのは(後から知ったが)オレの母。何か汚いモノを見る目つきだったのを覚えてる。でも、オレはある日、本能的に手を伸ばしたんだ。甘えたくて。声を聞きたくて。
母は強張った顔で、オレを押し戻し言った。
「あんたなんて産むつもりなかった!おろしたくて、お腹を何度も叩いたのになんで!!」母は泣いてた。
それが、幼い頃のオレの母に関する記憶の全て。
それから、オレは食べることも飲むことも止めた。
「時間」の感覚も「自分の体」の感覚も曖昧になった頃、オレは突然暗い蔵の中から真っ白な世界に入れられた。
その世界でのことはよく覚えていない。でも、いろんな大人がやってきてはオレの体を調べたり根気強く言葉を教えてくれたのはうっすらと覚えてる。母に似た若い人がオレを見て「かわいそう」と泣いたことも。オレは「かわいそう」の意味すら知らなかったけれど。
何日も何日も「治療」を受けて自分の脚で「歩く」ことが出来るようになった時もその人はオレを見て泣いた。泣きながら笑っていた。変なの。
それから、「季節」や「病院」について(他にもいろいろなこと)理解していった頃にあの人がやってきた。
オレのたった一人の家族。祖父だった。
これからは本当の家族と本当の家で暮らせるのだと、「病院」の大人が皆はずんだ声で言った。
「良かったね、頑張ったね」と母に少し似た女の人が笑った。オレは彼女の真似をして笑おうとしたけど、うまくいかなかった。
祖父は有名な日本画家だそうだ。
「母親にそっくりだな」と祖父は言った。
「お母さんはどこ?」のオレの問いは無視された。
そして、地獄が始まった。
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矢島千里の日記
昭和22年9月10日
今日、いつものお店に買い物に行く途中でお腹が痛くなって道にしゃがみこんでしまった。少しそのまま休んだらいくらか良くなったけど、店までは急いで歩いても30分以上かかる。
店について、豆腐やら野菜やら買おうとしたら店主のおばさんが慌てたようにわたしの腕をとった。
「あんた、山のほうの絵描きさんとこの娘さんだね?こっちにおいで。スカートに血がついてるから・・・」
おばさんが手当てしてくれて、割烹着を貸してくれた。
「これ着たら、汚れ目立たないから。今度返してくれたらいいから」
わたしは、おとなになったんだそうだ。
こんな痛い思いを毎月しなくちゃならないなら、おとなになんかなりたくない。
お父さんが、毎晩のように痛くするからこうなったの?
昭和23年1月22日
この間、商店のおばさんが月に一度血が出るって言ってたけどあの後は血が出なくなった。でも、からだがだるい。ご飯も食べたくない。気持ちわるい。
昭和23年2月6日
気持ち悪くて、ご飯も作れない。めまいがする。お茶碗を割ってしまいお父さんに怒られた。
急に吐き気が止まらなくなって吐いたら、お父さんがタクシーを呼んでいっしょに病院に行った。
わたしのお腹に赤ちゃんがいるんだって。
お父さんは怒っているのか、怖い顔で一言も話さない。
昭和23年2月16日
お父さんと一緒に電車で街の産婦人科病院に行った。
子供はおろさないといけないって、お父さんが言う。
痛いのは厭だけど、お父さんには厭なんて言えない。
昭和23年2月17日
おなかの子供が大きくなり過ぎているのでおろせないと昨日病院の先生が言った。少しほっとしたけれど、これからどうなっちゃうのかわからなくて恐い。
昭和23年3月4日
お父さんが、しばらくスケッチ旅行に行くと言う。お金はいつものところにあると。ひとりきりになるのは、初めてじゃないけど「いつ帰ってくる?」と聞いても返事してくれない。いつもは一週間もしないで帰ってくる。多分、今回も。
昭和23年4月9日
お父さんは帰ってこない。節約してるけど、お金もあまりない。
どうしよう。


























ありがとう~。
とりあえず、書けた分だけニコタに載せて 完成したら見直してNoteに載せることにしたよ。
書きながら、おかしなところとか指摘してもらえたら修正もしやすいし。
謎が謎を生む展開だね!
もう最後まで書けたことは書けたの?
Noteのほうには一気掲載、とかない?(≧▽≦)
続きが気になるよ~!
ありがとう~♪ ちょくちょくたんの感性も唯一無二で素敵だと思うよ!
書いたのは、吉田君じゃなくてわたしだよ(;^ω^)。
吉田君には不自然なところがないかとか、チェックしてもらっただけ。
ありがとう~。これからが本番。
こわいね
でもこれくらいなら豚も読める
楽しみにしてるね
続きを待ってるわ。