Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



猟奇殺人事件(仮題)2


「トイレの場所、覚えてないの?センリ そっちじゃないよ。こっち!」

「うん、ありがと」

センリ、本当に変な奴。今日はまあ、まともな服着てたけど。
先月か、初めて会った時はびっくりしたなあ。花模様のワンピース着て震えながら歩いてるんだもん。12月だってのに。というか、どう見ても60くらいだと思うのに。

雪も降りそうだったし、ふらふらしてるしでとりあえず声をかけたら
道に迷ったみたいで自分の住所も知らないし。

今思うと、赤の他人を自分のアパートに入れるなんてわたしもちょっとどうかしてるかも。でも、センリは危ない人には見えない。むしろ、華奢で守ってあげたくなる。綺麗な顔立ちしてるし。いや、それは関係ないけど。

目玉焼きくらいしか、出せなかったけどセンリ美味しそうに食べて「オレの彼女になってよ」って言ったなあ。吹き出しちゃったよ、まったく。

センリ、スマホも持ってなかった。でも、ポケットに小さな端末が入っててボタンが真ん中に一つだけあってそれを押したら、年配っぽい男の人の声が聞こえて事情を話したら迎えに来てくれたんだよなあ。

センリは嫌がる感じもなく、うちにやってきた80くらい?の男の人に連れられて帰っていった。帰り際、「ご飯、ありがとう」ってこっちを向いて笑ってた。


「トイレ、貸してくれてありがとう」
「ううん。少しは気分良くなった?」
「うん」

「あのさ、オレ、もう家に帰らないでミキちゃんとここで暮らしたい・・・
あっ!でも、家に猫いるんだ。オレがご飯あげないと」
「そうなの?でも一人で帰れる?」
「帰れないかなあ…」
「…どうやって、このアパートに来たの?」
「歩いてきた」
「いや、そういう意味じゃなくて、***村に住んでるって前に言ってたよね。そこから歩いてくるって3時間くらいかかるよ」
「大きなビンが近くに見えたから、それを目指してきたよ」
「ビン?ああ、向かいにあるボーリング場の屋根に立ってるやつね。もう営業してないけど」
「そういえば、センリがこの間持ってた携帯?みたいなやつは?」
「う~ん・・・」
「ズボンのポケットに何か入ってる。お財布かな。見ていい?」
「いいよ」
「お財布の中に住所と名前書いたメモ入ってるじゃん、あれ?これって…
青木修司って誰?この間迎えに来た人?」
「違う。オレの名前だと思う」
「センリって言ってたじゃん」
「そうとも言う」
「なにそれ!?まあ、とにかくこの住所に送るよ。車ならすぐだし」
「うん、ねえ猫連れてきていい?そしたら猫とミキちゃんとここに住む」
「うちのアパートはペット禁だから無理」

「シートベルト締めてね」
「うん」
「猫飼ってるって、いいなあ。わたしもいつか飼いたいなあ。かわいいでしょ」
「可愛いよ、すごく。それでね、ピンクのリボン首につけてあげたんだ。そしたら、締めすぎちゃって死んじゃった」
「はあ!?」
「そしたら、すごく怒られた。死んじゃった猫を抱いて透、泣いてたなあ。あれ?泣いてたのオレだった気もする」

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昭和60年 矢島透 三十七歳 

S市 黒木ギャラリー「矢島透 個展 『幻生華園』」

「…先生のおじい様にあたる矢島徹氏は厳しい北の風景を描く方でしたが、先生は対照的に穏やかな美人画を描かれるのですな…どこか幻想的でまた違う美しさがありますね…」
「ありがとうございます」

著名な祖父と比べられるのは、慣れている。
祖父の作品は暗く沈んだ風景だが、下層には幾重にも溶岩のような赤や深い底なし沼のような暗緑が潜んでいる。

子供の頃、祖父の仕事場を盗み見ていきなり殴られたことを覚えている。
いくつもの絵皿や岩絵の具が散乱する床。子供の不注意で作品を汚されることを恐れていたのだろう。だが…、本当のところは私が疎ましかったのだ…。

ギャラリーへの来館者は平日の昼間でもあり、まばらだ。
そして、彼らのほとんどは著名な日本画家の血縁への興味でやってくるに過ぎない。

ふと見ると、6号の小品の前で長いこと佇んでいる若い男性がいる。
「蝶たちの帰還」だ。
わたしが近づくと、彼は振り向き「この絵、すごく好きです!」と言った。
こんなにまっすぐに、作品を褒めてもらったのは初めてかもしれない。
嬉しかった。

「この絵の中のたくさんの蝶は、どこに行こうとしてるんですか?」
「…蝶は、魂の象徴なんですよ。向かう先は魂が最後に辿り着く場所かな。生まれる前の場所かもしれない」
「魂かあ。じゃあ、オレの中にもこんな綺麗な蝶がいるのかな」
「…そうかもしれないですね」
面白い子だなと思った。同時に、美しいと思った。

わたしみたいな者が見つめてはいけない存在のようにすら思えた。

#日記広場:自作小説

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2026/09/14 09:28
> もふもふ0304さん
「時間をかけたいような気にさせる」ってすごい誉め言葉だわ。嬉しい。
今回、頭の中にいろんなシーンがバラバラに浮かんだの。
それで、そのバラバラのピースをプロットとして一つ一つ文章化してメモにして
その上で時系列を自分で推理?してつなぎ合わせたの。今、そのつなぎ合わせて数枚の紙にしたものを見ながら文章化してるところだよ。今のところ、1/4くらい。気長に待っててね。
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2026/09/14 08:29
バラバラのピースを早く一枚の絵にしたいようなもっと時間をかけたいような気にさせるね。

続きを待ってます。
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2026/09/14 07:48
> 浦島の亀さん
読んでくれて、ありがと!
今後、矢島透目線で物語が続くから関係性とかもわかると思う^^

気になる点も教えてくれて、ありがたいです。メモしておいてあとで修正するね。
絵はね、最初に以前描いたものを吉田君に見せて「これで、ホラー小説書いて」って言って書いてもらったんだけど完全に怪奇幻想風味だったので、自分の経験?とか踏まえて1から書いてるところ。吉田君もうまくミスリードしてくれるか確かめながら( ´艸`)。絵は一応載せるよ。
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2026/09/14 07:30
やっと少し関係性がわかってきた……。
が、矢島千里はセンリなのか? 男なのか女なのか?
まだまだ謎は続く……だね!

一ヶ所ちょっと引っかかったところ、
「先生の祖父」ってインタビュアーか誰かが言ってるんだと思うけど、
ちょっと不自然じゃない? 「先生のおじいさま」とかじゃないかなあ?

Noteに載せるとき、せんちゃんの絵も一緒だといいかもね~(´∀`)
でも逆に、絵を想像してもらうほうがいいかなあ?




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