Nicotto Town ニコッとタウン

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月よりの使者――群青によせて


I. 深き夜の底の、その色のなかから
群青のなかに 夜がとけてゆく
それは空よりも深い 海の底のやうな色
僕は窓をひらき 冷たい風をむかへる
そこへ 月よりの使者がおとづれるために
使者のまとう外套は いちめんの群青
星のひかりをかくした あおい闇のきれはし
僕がひとりで抱へてゐた ちひさな孤独を
そのあおい影が しづかに包みこんでゆく
「もう、なにも言はなくてよいのです」
使者のこゑは 風のやうにひくく
僕の耳もとで やさしく顫(ふる)へてゐた
僕はただ そのあおいひるがへりに
すべての記憶を あづけてしまひたかつた
夜が もっと深く沈んでゆくまえに

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