月よりの使者――群青によせて
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/09/22 15:45:17
I. 深き夜の底の、その色のなかから
群青のなかに 夜がとけてゆく
それは空よりも深い 海の底のやうな色
僕は窓をひらき 冷たい風をむかへる
そこへ 月よりの使者がおとづれるために
それは空よりも深い 海の底のやうな色
僕は窓をひらき 冷たい風をむかへる
そこへ 月よりの使者がおとづれるために
使者のまとう外套は いちめんの群青
星のひかりをかくした あおい闇のきれはし
僕がひとりで抱へてゐた ちひさな孤独を
そのあおい影が しづかに包みこんでゆく
星のひかりをかくした あおい闇のきれはし
僕がひとりで抱へてゐた ちひさな孤独を
そのあおい影が しづかに包みこんでゆく
「もう、なにも言はなくてよいのです」
使者のこゑは 風のやうにひくく
僕の耳もとで やさしく顫(ふる)へてゐた
使者のこゑは 風のやうにひくく
僕の耳もとで やさしく顫(ふる)へてゐた
僕はただ そのあおいひるがへりに
すべての記憶を あづけてしまひたかつた
夜が もっと深く沈んでゆくまえに
すべての記憶を あづけてしまひたかつた
夜が もっと深く沈んでゆくまえに


























