学校現場における部活動の取り扱いに関して考える
- カテゴリ:仕事
- 2026/10/20 18:05:38
今日議論になっている学校現場における部活動の取り扱いに関して元公立中学校勤務の経験を基に考えてみる。
部活動の廃止及び地域移行化が近年話題に上がっている。私個人は、部活動の地域移行及び学校現場からの切り離しには全面的に賛成だ。
私が公立校で勤務していたのは今から5年ほど前までであり、その頃には「教員の働き方改革」や「部活動指導員」などの言葉は出始めていたが、実際の現場、少なくとも私の勤務していた学校ではほとんど働き方や部活動の地域移行の実態はなく、教員による平日及び休日の部活動指導が行われていた。
本来の退勤時間は16:45だが、部活動の実施時間は基本的に16:00〜18:00(春から夏にかけては18:30まで)だった。この時点で働き方改革などというものは破綻している。そして公立の教員には残業代は支払われない。調整額という名の給与の数%(当時は給与の4%)の金額が毎月支払われるのみだ。初任の給与は手取りで約21万円、調整額は1万円にもならない。週5日1時間半、月20日間部活指導を行なった場合の時給は約330円だ。土日の部活動は手当がついたが、休日丸一日の勤務で日当が2000円にもならなかった。そして土日の練習試合や大会までの交通費と昼食代は全て自腹だ。
そして部活指導をするということは、同時に生徒指導と保護者対応をするということにもなる。ただでさえ自分の担任クラスで手一杯の現場で、さらに生徒指導と保護者対応の場面が増える。実際に、学年を跨いだ生徒間の口論・SNSトラブルの指導は何度もした。また、保護者対応では、当時私の担当していた部活動は平日週4日と休日1日の練習日、大会がある日はさらにもう1日の活動を設けていたが、保護者からもっと練習日を増やしてほしいと連絡があった。理由は日曜に子供が家にいるとゲームばかりして良くないから、平日に早く帰って来られると仕事で面倒が見られないため困るから。もちろん中学校の部活動は託児所ではない。
教員は部活動以外の仕事も山積みだ。本来メインに行うべき教科指導はおざなりになり、部活動だけで勤務時間は終わってしまう。平日の夜に家族と一緒に家で食事をしたり、連休に旅行に行ったりすることもままならない。これが令和の働き方であってはならない。
以上のような給与と待遇で、部活動を教えたい人は果たしているのだろうか。地域移行は現状、財源と人材の担保ができずに進まない。また、部活動の廃止をするなと声をあげている人も結局は同じ待遇で自分のプライベートの時間を割いて部活動の指導を行わない。当然だ。それなのにまだまだ教員に奉仕の精神を求める人は多く、教員の疲弊と精神不調による離職は透明化されたままだ。
地域移行を進めるためには、まずは各自治体でクラブチームとの連携を行い、指導員の確保を行う必要がある。個人的には運動や芸術を授業外で行いたいのであれば保護者が習い事と同様にきちんと月謝を支払うべきと考えるが、子供に等しく課外活動をと考えるのであれば各自治体でのクラブチームに対する補助金の設定が必要になる。
また、活動はクラブチームで設定されたのルールに則って行い、揉め事や練習量に関する要望も学校から切り離す。
「部活動は教員の仕事」と近年の教育現場や生徒・保護者の実態を考慮せずに吠え続けることは容易だ。しかし、銀行員が15時の閉店時間後にも働いているように、教員も生徒が下校した後に働いていることを忘れてはいけない。教材研究、校務分掌の業務、行事の準備、その日に起こった生徒間トラブルの学年共有と該当保護者への連絡、保護者からのクレーム対応、「仕事があるから19時に学校に行くから面談しろ」と平気で言う保護者もいる。SNSの普及、共働き世帯の増加、生徒・保護者のお客様精神の増長から来るカスハラなどが重なって、対応すべき業務は日に日に増えている。そしてその業務に正当に残業代も支払われていない現状だ。そこでまずは生徒の下校時刻がすでに業務時間外になっている部活動の地域移行もしくは廃止を求める。
部活動の地域移行及び廃止が可能になれば、教員は教材研究と校務分掌業務にあたる時間の確保ができ、本来一番注力すべき教科指導の充実を図ることができる。また、教員のワークライフバランスが整えば教員のなり手が増え、担任指導ではより多くの目で多角的に生徒と関わることが可能になる。そうすれば生徒間トラブルの未然防止や保護者の不安解消にも繋がり、より良い学校づくりが可能になる。そしてさらに働き方改革を進めることができる。良いサイクルができるのだ。
現状の国の政策や自治体における教育にかけられる財源では実現が難しい部分になるが、理想論として、まずは各学校の教員及び教育委員会が勇気をもって部活動を移行もしくは廃止を進めることが必要だ。これまでの教員の善意で成り立ってきた業務で現場が逼迫し、保護者もそれが当たり前になりさらに要望が膨らんできた今日だからこそ、リセットしよう。勇気をもって「やめる」のだ。やめた先に本来必要な教育ができる現場が戻ってくるはずだ。
























