タケシの武勇伝…(28)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/11/12 20:16:52
『・・では・・・いただきます!』
3人は、声と手を一斉に合わせて礼をした。これが北野家の食事始めの決まりだった。
マキエがおかずに箸をつけると、そこで初めて二人は箸を取った。母が箸を付けてからでないと兄弟は絶対に食べ始めない習慣になっているのだ。
一旦はいつものように箸を取ったタケシだが、すぐに箸を置いて改めて二人の前で姿勢を正した。
「食べながらでいいから聞いてくれ。母さん・・・」
「な~に?」
「俺さ、今日友達のところに行ったんだよ。学校のプリント渡しにさ。そしたら・・・」
タケシは、今日あったことを淡々と語り始めた。
ケガの話になった時、一瞬母の手は止まったがあえて淡々と話すタケシの姿を見たマキエは、何事もないそぶりで聞いていた。
そして・・・
「俺さ、手術受けても良いよね。別に失敗したって今と何にも変わらないし、何の問題もなさそうだしさ・・・」
すると・・・
「タケシ、あんたが受けたいんなら何も気にすることはないよ。ただあんた、もし手術が上手く行ったらまた野球やるのかい?その佐々木って人もあんたが野球やるのを見たいからって言ってるんだからね…やりたいんだったら受けなきゃなんないでしょ。だったら迷うことないでしょ。あたしに言えるのはそれだけだよ」
マキエの言葉は当然だった。
またタケシが迷っていたのもまさにそのことだった・・・
手術を受けるのは構わない。だが、また野球ができるとなると今の学校でしかやれないのが問題だった。とてもじゃないが、今の高校では勝ち負けうんぬんの話はできなかった。
タケシが定員割れでもぐり込んだことでも分かるように、○○高校は県内1・2を争うバカ学校であった。おまけに、部活動すらまともにやらない学生の集まりだった。
あまりにひどすぎるため、その改善策として去年まで近隣校との併合話が進められていたのだが、それすら相手校側からの反対でお流れになってしまったほどなのだ。
内心手術を受けたい気持ちがありながら、シンさんの家で即答できなかったのはこのことが心に引っかかっていたからだ・・・
※※つづく※※
お母さんは反対しませんでしたが、そう簡単にまた野球ができるようにはならないみたいです。
これからどうなるんでしょう。
でもねえ、なんかねこのタケシの気持ち
すんごいわかる
それにしても、これからどんな「武勇伝」となるのやら。
しかし野球ができないのは悲しいけれど仕方が無い。
タケシが野球部を復活させる事を祈ります!
ほかの高校にいくしかないね。
野球するための道のりは長いのう。