Nicotto Town


おうむたんの毒舌日記とぼうぼうのぼやき


以前書いた物語 いんこな日々-第12章-(前編)

12章 懸案のいんこ問題(前編)

かごが4つになったー理由は簡単だ。いんこが増えたからだ。

セキセイカップルのちゅう坊とグリ子夫婦が初めての巣引きに入った時 その問題に考えが及ばなかったのは 私が甘かったからだ、と思う。
「いっぱい食べて体力つけて乗りきってよね」
などと応援しては グリ子の為に 餌を運ぶちゅう坊に餌の栄養バランスをやかましく喚いては ちゅう坊にすっかり嫌われていたなんて おめでたすぎて涙がでそうだよ。

グリ子は産卵した五個の卵から三羽のヒナを孵した。
失敗に終ることの多い初めての巣引きとは思えぬ大成功である。グリ子のかごの中に設置された巣箱から ヒナがゾロゾロ這い出てきた時は 新しい後輩いんこ達を暖かく迎え入れる先輩いんこ気分に満ち溢れていたものである(遠い目)。
一番大きいヒナはもうほぼ羽も開ききっていたけれど 一番チビはまだ尻のあたりがフワフワとして とても小さくて 世にもはかなげな存在に見えたわけよね…ふっ(更に遠い目)。

それが、だよ、
「おばさん、じゃまだから どけよ」
放鳥時間 いつものお気に入りの場所でくつろいでいた時、背後から声がした。
おばさんっ!?それって まさか 私のことなわけ!?愕然としつつ 振り向いた先に 邪険のないヒナの顔がそこにあった。しかも一番チビではないか!
そりゃこいつから見れば 私は充分年上だけどもさ…。人間だった時の私は 二十歳になったばっかりだったから、「おばさん」呼ばわりは 生まれてこの方 これが初めてである。当然のごとく 怒りがフツフツ湧いてくる。
「なんでどかなきゃ ならないの?」
気持ちを押さえつつ 私はチビいんこに静かに問いただした。チビっこには 大人な態度で対抗すべきなんて 思った私がバカだった。
「えー?じゃまだから、だよ」
チビは悪びれもせず そう言うと いきなり私のしっぽを くちばしでくわえ、なんの躊躇も遠慮もなしに しっぽをぐいぐい引っ張りだした。
「だからぁ~、とっとと どいてよぉ~」
「ひょえええ~~っ!全身に怖気だつ寒気が走り 私は思わず情けない悲鳴をあげてしまった。情けない、なんつー不覚だ!
悲鳴をあげながら 私は自問自答した。こんなチビに好き勝手されていいのか?こんな状況を むざむざ許してしまっていいのか?答えは無論否、だ。いんこ同士の駆け引きは 引いた側の負けである。セキセイならば 押して押して押しまくるのだっ!情けない悲鳴をあげている場合ではない。攻撃こそ最大の防御じゃーーーっ!
私は息をとめて からだを思いっきりひねって チビが齧りついているしっぽを強引に引き抜いた。すごく痛かった。ほんとに痛かった。でも 私は負けないっ!!!
「チビのくせに…」
私はジリッと一歩 チビに近づいた。初めてチビがたじろいだ。形勢逆転。
「力関係 わかってないようだから…」
ジリッジリッ。
「教えてあげなくちゃ…ね」
次の瞬間 私はチビに飛びかかった。
「ぴゃあぁ~~」
それまで 生意気な口をきいていたのが 途端にはかなげなヒナっぽい叫び声をあげるところが 小憎たらしい。
「いきなりか弱いフリなんかするんじゃないわよっ!」
叫びながら 体当たりして突き飛ばしてやった。再びチビはの悲鳴を上げた。

ヒナの悲鳴に反応したのは 意外なことに父親のちゅう坊だった。
「おいっ!チビ相手に大人げないことするなよっ!」
私とチビの間に割り込むと 彼は怒鳴った。いつもの弱気を押し殺して ちゅう坊は怒鳴った。私はすっかり驚いて ちゅう坊をまじまじ見つめてしまった。子供をかばう親の姿を 私はそこに見た。

『深夜バスにこれから乗るから 明日の朝には着くからね』
『気をつけて来るんだよ、待ってるからね』
電話口で母が言い、その後ろから
『到着ターミナルに迎えに行ってやるから 伝えておけよ』
と話す父の声が小さく聞こえた。
ー電話で話したっきりになってしまった親のことが ふいに頭をよぎった。お父さん、お母さん、心配かけているんだろうか?私 いんこになっちゃったんだよ…。

一瞬 私は立ち尽くした。が その隙をついてすかさず チビがちゅう坊の後ろに逃げ込んだので ハッと我にかえった。考えるのはよそう、今はいんこな自分を生きるだけだ!

「ちゅう坊、どかなかったら あなたも蹴り飛ばすよ」
私は凄んだ。もともと弱気なちゅう坊ゆえ 絞り出した勇気もあっという間に飛散してしまったようだ。私の迫力に負けて チビをかばいつつも ちゅう坊は一歩後ずさった。
今だっ、私は ちゅう坊の後ろに隠れたチビに飛びつこう、とした。んが 寸での所で、すっとんで来た飼い主にとッ捕まってしまった。間髪おかず ガミガミ説教が始まった。悪者にされたのは 当然私であって ヒナをいじめた大人気ない行動ってわけである、けっ!飼い主の説教なんぞ 右から左へ聞き流し 私は今後に思いを馳せた。

(つづく)

アバター
2009/11/17 16:59
小さいと時って手加減しらないもんね
鳥も子供も一緒なのかなぁ~
痛い事教えてあげないと駄目だね
それにしてもちゅう坊が少しお父さんらしくなってるのには
(*□*)ビックリ!!
アバター
2009/11/17 15:47
こんにちは♪

へぇ…インコ同士の駆け引きって、引いたら負けなんですか…知らなかったです!
人間だと「どちらかが大人になる」というパターンもありますよね(^^;)
思いがけず、以前人間だったころのことを思い出したりょうちゃんですが…
これからどうなっていくのか、ますます目が離せませんね❤
アバター
2009/11/17 07:19
・・・鳥世界の方が厳しいのね・・・・

アバター
2009/11/17 06:40
ふんーん、インコにも躾が出来ないバカ親がいるとは。。。
アバター
2009/11/17 01:34
>紗枝ちゃん
いやいや、ヒナゆえの行動なんですよ^^。
何もわからないから、大胆になるー冒険する
興味津々な時がヒナの時期なんです。この時期
おずおずしていると、大きくなってから神経質な鳥に
なるので、これぐらい好奇心と冒険心が必要なんですよ^^

ナイフは物騒だから、捨ててね^^v
心配ありがとう 大丈夫だよ^^
アバター
2009/11/17 00:48
チビのくせになまいきな~っ!

くちばしでつっついてやればいいのにw

インコが人間だったら、けっとばして、ふんで、ナイフでさそうかとおもっちゃう。



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