星を盗む男 (上)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/11/20 20:41:48
風はなかった・・・。
海に面した街では珍しく、夜気は生暖かく乾いていた。
街灯の数は、乏しく、月は出てはいない。
そして明かりの漏れる窓は数えるほどしかなかった。
闇に占められた街は、
来る人を拒むような威圧感のような。
罠へ誘う静けさのような。
なんともいえない雰囲気を醸し出していた。
「今回も冴えない仕事になりそうだ・・・」
通りの角からわだかまるような闇がユラリと動いた。
泡が二つに分かれるように闇から離れた影は奥へと消えていった。
贋作集団「ヴァルハラ」その贋作工房の調査が今回の仕事だ。
あいかわらずMissサラは、危ない仕事ばかり回してくる
もっとも、仕事と結婚しちゃったからMissなだけで
実際は、Mrsが似合う年齢だ。・・・なんて言ったらぶっ飛ばされるな。
闇進む影は、やがてひとつの明かりに晒された。
ホテル「ThreeStars」今日のねぐらにようやく辿り着くことが出来たのだ。
三ツ星の名前とは裏腹に、中身はひどく簡素なものだった。
手早くチェックインを済ますと雪崩れ込むようにベットに倒れこむ
すべては明日からだ、程なく意識は向こう側に吸い込まれた。
朝はホテルで簡単に済ませた。内装とは裏腹にイケル味だった。
この辺が三ツ星の由縁なのかもしれない。
「ThreeStars」を後にして足を潮の匂いが強い方へとむけていく。
朝から港の貸し倉庫をひとつひとつ当たっていくのだ。
極めて地味な作業だ。人の目を避けるようにしらみつぶしに当たってゆく。
地図がXで埋め尽くされ、日も傾きかけた頃、奇妙な倉庫を見つけた。
窓がひとつだけある不自然な位置に・・・。
だが内側からブラインドが降ろされており中の様子は伺い知る事は出来ない。
さらに近づいてみるとガラスはピッタリと窓枠に溶接されていた。
つまり、開けることが出来ない窓・・・。
コイツは、におうな、直感が告げていた。
表に回り鍵を開け侵入をする。
セキュリティらしき物はなく、ガラーンとした倉庫があるだけだった。
気配も感じない・・・。だが慎重に歩みを進めていく。
壁を背に、先ほどの窓があった部屋の前へ辿り着いた。
中の様子を伺う。・・・気配はない。
だが何があるかわからない。用心のために護身用のナイフに手を掛ける。
「さあて、鬼が出るか、邪が出るか・・・。」
ドアノブに手を掛けゆっくり回していく。
ギィーーーーー
間抜けな音を立てて扉は開いていく。
中は工房独特の匂いがした。恐らく画材の匂いだ。
専門的な知識はないので詳しくはわからなかった。
「ビンゴ」小躍りしそうになるのをグッと堪えて辺りを見やる。
絵が乱雑に置かれている。画材も散乱している。
「片付けながらやれ、自分の周囲が汚いと絵も綺麗にならないぞ」
不意に美術教師のお説教が脳裏に甦る。
「・・・あれはウソだったか」
なぜなら、ここにある絵はどれも素晴らしい出来の様に思えた。
ひとしきり部屋の中を眺めた。
するとこの部屋にそぐわない。真新しいスーツケースが机の上に置かれていたのを見つけた。
興味を持った俺は、吸い寄せられるように机の前へ進み出た。
「カチリ」
乾いた音が静寂を切り裂いた。
中身は驚くべきものだった。
「なんだこれ?」
てっきり画材でも出てくるモノだと思った予想は裏切られた。
現在紙幣の最大額は$$200 その札束が目一杯詰め込まれていた。
偽札?では無さそうだった。贋作の代金なのか?
そんなことを考えていたためか、近づく足音を聞き落としていた。
気がつくと、ひとつしかないドアにナイフを持った女性が立っていた。
かなりの美人だ。ナイフさえちらつかせてなかったらお近づきになりたいくらいだ。
しかし、そこから入ってくる様子はなかった。
そうか、ここで暴れて絵に傷でも付きでもしたら大損だ。
ここにいる限りは安全だが、所詮袋のねずみ。
仲間でも来たら両手を挙げるしかなくなる・・・。
どうする?
思案していると、女はゆっくりと下がって手招きしてきた。
覚悟を決めナイフではなく、背中の業物に手を掛け部屋を出る。
女は順手にナイフを構えるオーソドックスなメレースタイル。
明らかに何らかの訓練をうけている感じだ。
「こんな所に丸腰で来るかよ!」
業物を抜き、斬りかかる。女は明らかに動揺していた。
刃と刃が交錯し火花が散った。
女がパリィを試みているのは明らかだった。
ならば、強い打ち込みで女の手首へダメージを蓄積させていく。
か細い手首は、やがて堪えきれなくなり、ナイフは宙に舞った。
「チェックメイト」
切先を額に向けると、女は抵抗を止めた。
刹那、右上腕部に熱さが、いや痛みか?
狙撃を受けた!?気付くのにそうかからなかった。
体を地面に伏せ、様子を伺う。
「こういう場合」
声の主は、全身黒づくめ、真っ暗な闇を切り取るように現れた。
「どう見たって、あんたが悪役だよな」
言葉に出来なくても ありのままに 声枯れるまで
言葉に出さなくても こぼした涙が洗い流すだろう
目指した場所は 遥か彼方遠く 描いた『青写真』にいつか届くと
日々踏ん張って生きる中で 地道に頑張っているのに何故か
報われない事もあるだろう 難しい事1つもないよ
涙流して夜空見上げよう! 明日はmy wayを立ち上がろう!
気付けば ホラ! そこに違う 『自分』 が待っているはずだから
言葉に出来なくても ありのままに 声枯れるまで
言葉に出さなくても こぼした涙が洗い流すだろう
天を仰げば 涙こぼれないと思い ここに立ち止まり 空にじみ
「泣かない!」 と意地張る強い心に
逆らい 溢れ出る涙はそこに全て流し 濡れて乾き
そしたらリセット 明日への架け橋 駆け出し
「泣けない心」 捨て 今までの景色より澄んだ世界
気付けば ホラ! そこに違う 『自分』 が待っているはずだから
言葉に出来なくても ありのままに 声枯れるまで
言葉に出さなくても こぼした涙が洗い流すだろう
涙はきっと明日の糧に 悩んで 笑って 見つかるだろう
意地張り 強がり 辛くなってきたら ありのまま涙流そう
言葉に出来なくても ありのままに 声枯れるまで
言葉に出さなくても こぼした涙が洗い流すだろう
誰しも涙の数だけ素敵になれるはずだから
恐れずに前へ進もう! 『弱さ』 も全部流してくれるだろう 涙空/GREEEN
ずっと、知っているものだと思って接してました。。。
今後とも、宜しくお願い致します。
ん~・・・お墓には、ちょっとビックリ((●≧艸≦)プププッ
なんか、ぽっかり穴が空いた感じです。
でも、恭介さんも悩んでたんですね・・・
いつも聞いてもらうばかりで、ごめんなさい。
今度は、聞き役になりたいです。
「お帰り。」が、言える日まで、「またね。」。
用語解説の回がどこかにあったはずです。それを読んでもさっぱりなら直接聞いてみてね。
そういえば、昔は毎回作品解説してたなぁ~ほとんど理解されなかったけど・・・。懐かしい
どうも前後ではおわらなそうですが・・・。削りに削ればいけるかなぁ?
どっちにしても説明が多くなりすぎるので、一回用語解説のはなしを入れるつもりです。
今回は ハードな感じで 違った意味でドキドキする作品ですねー(๑→ܫ←)ノ♫♬
いつもいいところでおしまいになるので 続きが気になっちゃいます♪
前編 後編で終わっちゃうのですか~??
どんな展開になるんでしょう!
楽しみにしています✿
読んでくださってありがとうございます。
「もうひとつの夏へ 1~7」あたりも読みやすくてオススメです!
少しハードなのが書きたかったので・・・。でも読んでくれてる層とちがうので程ほどにしますw
自分の絵も拭われたって・・・。イジメじゃないですか;横暴な人もいるんですね・・・。
SSということなので2話にまとめようとしたのですが、前半書いた時点ですでに2話分のボリュームw
泣く泣く、色々そぎ落として今のものになりましたw後半部上手くいくかなぁ・・・。
続きは・・・。まだヒミツですw
でも割といい話にしようかなぁとおもってます。後半を待っていてください。
「こういう場合、どう見たってあんたが悪役だよな」は銃を撃った3人目のセリフですね。
油断しすぎです。ギニュー特戦隊あたりだったら、主人公補正がないから死んでます。
李桜さんの小説も読んでみたいですね~!楽しみにしてますね。
続きはおもいも寄らない方向にいきますwお楽しみに
さあ、どうなってしまうのでしょうか? 今のところ星が一切絡んでませんが・・・。
後半に収まりきるのかが心配です。
なるべく早く仕上げます!少々お待ちください。
楽しんでいただけて幸いです。
続きは、素早くお届けしたいですが・・・、ゆっくり、他の小説でも読んでお待ちください。
ありがとうございます。がんばって書きます。
うまく収まるといいんだけどねw
ありがとうございます。がんばって書きますね。
今は体調よくないので・・・。ちょっと間があくかもしれません
読み始めるとつい最後まで読んでしまいます
2話目待ってるよぉ~
神々の居城が贋作集団に。。
裏腹=ヴァルハラ?
美術教師、、いましたね、そういう先生、
すぐ、お雑巾!とあちこちきれいに拭いて回って
ついでに私の塗った色も拭って消されました。。
でも、2話で終わるのかな(>m<)
結構続きそうな気がしますv
アクション系サスペンス、好きです^^
どうなるんだろーー^^☆
油断しすぎだよ~。危機じゃないか。
ワクワクしながらお待ちしていますねw
しかしこういうのを見ると、久しぶりにお話が書きたくなるから不思議^^
華麗なるスパイを想像しながら読んだよ(*^^)v
言葉の表現の仕方がプロっぽくて凄いね!(^^)!
難しい表現がたくさんあったけど面白かった(^◇^)
続きに期待ドキドキ"o(〃・ω・〃)o"ワクワク
続きを楽しみにしてます!
楽しみにしています♪