タケシの武勇伝…(32)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/11/24 11:30:57
タケシは黒服の後頭部をにらみながら、リョウは周りの景観に目を奪われながら玄関にたどり着いた。そして、黒服が玄関のひもを引っ張ると、間を置かずに扉がサッと全開した。そこには、車椅子のシンさんと塙さんが二人を待っていた・・・
「二人とも待ってたよ。ささ、入って!」
笑顔で迎えられた二人は、早速室内エレベーターからシンさんの部屋へと向かった。
紅い絨毯の通路からシャンデリアがきらめく室内ホールを過ぎ、シンさんの部屋へと進んでいく間、リョウの口はポカーンと開きっぱなしだった。
「タケちゃん、ココは家なのか?この部屋だってまるで図書館だぜ・・・人が住んでる雰囲気ぜんぜんないじゃん!」
耳打ちするように、リョウはヒソヒソ声でタケシに話し掛けた。だが、その問いかけにタケシはただただ苦笑で応じるしかなかった。
車椅子のままシンさんがベッド脇の白いテーブルに着くと、促された二人もそこに同席した。そこで初めて思い出したように、リョウがプリントの束をシンさんに手渡した。
「あっ!コレ、プリントです」
「ありがとう・・・」
シンさんは受け取ったプリントをそのままテーブルの上に置くと、すぐにテーブルの呼び鈴をチーンと軽く鳴らした。すると、例のメイドさんがお茶を載せたキャビネットをテーブルへ押してきて二人に淹れたての紅茶を差し出した。
二度目であるタケシは軽く会釈して紅茶を受け取ると、早速一口飲んでのどを潤した。だが初めてのリョウは、紅茶カップが置かれるのをただかしこまって見ているだけだった。
「…で、北野くん。手術は受けてくれるんだよね。」
早速シンさんは本題を尋ねてきた。
「うん。そのつもりだけどさ・・・ところでこっちも聞きたいんだけど、手術ってどのくらい時間かかんの?」
「手術前の検査を考えると2・3日ってとこかな。北野くんは指だから、手術が終わればすぐに退院できるよ」
「場所はどこでやんの?」
「ウチのやってる病院で受けることになるね…知ってるだろうけど、聖愛会病院。そこに入院してもらうよ」
「聖愛会か・・・」
一瞬、タケシはケガした時のことを思い出した。運ばれた先がその病院だったのだ。
感慨深く自分の左手を見直したタケシは、ふと握り締めるように指先を動かしてみた。だが、やはり中指だけが真っ直ぐ伸びたままピクリとも動かなかった。
手術や入院という言葉に反応したリョウが、心配そうな顔をしてタケシの様子をジッと見ていた。
その時動いていたのは、立ち上る紅茶カップの湯気だけだった・・・
※※つづく※※
本編よりもコメント読む方に時間がかかるって...。
プリント配達仲間のリョウくん、出てきましたねぇ。待ってましたぁーっ☆
それぞれクセのありそうなメンバー、学校の雰囲気も、リハビリも、うーん、前途多難ですね。。
今回はケーキ出てこないのかなぁ。。あっこの終りかたは雰囲気が出てて好いですね♪
ついにタケシ君は手術を受けるのでしょうか?
サム猫さんが入会なされました。作品を書かれています。宜しくお願いします。
って、ひどすぎるギャグだ・・・パタ
昨夜観かけて途中で止めてしまった(寝た)
「ボーンコレクター」という映画でも
死体の指だけが地面から出ていました。