Nicotto Town



タケシの武勇伝…(32)

タケシは黒服の後頭部をにらみながら、リョウは周りの景観に目を奪われながら玄関にたどり着いた。そして、黒服が玄関のひもを引っ張ると、間を置かずに扉がサッと全開した。そこには、車椅子のシンさんと塙さんが二人を待っていた・・・

「二人とも待ってたよ。ささ、入って!」

笑顔で迎えられた二人は、早速室内エレベーターからシンさんの部屋へと向かった。

紅い絨毯の通路からシャンデリアがきらめく室内ホールを過ぎ、シンさんの部屋へと進んでいく間、リョウの口はポカーンと開きっぱなしだった。

「タケちゃん、ココは家なのか?この部屋だってまるで図書館だぜ・・・人が住んでる雰囲気ぜんぜんないじゃん!」

耳打ちするように、リョウはヒソヒソ声でタケシに話し掛けた。だが、その問いかけにタケシはただただ苦笑で応じるしかなかった。

車椅子のままシンさんがベッド脇の白いテーブルに着くと、促された二人もそこに同席した。そこで初めて思い出したように、リョウがプリントの束をシンさんに手渡した。

「あっ!コレ、プリントです」

「ありがとう・・・」

シンさんは受け取ったプリントをそのままテーブルの上に置くと、すぐにテーブルの呼び鈴をチーンと軽く鳴らした。すると、例のメイドさんがお茶を載せたキャビネットをテーブルへ押してきて二人に淹れたての紅茶を差し出した。

二度目であるタケシは軽く会釈して紅茶を受け取ると、早速一口飲んでのどを潤した。だが初めてのリョウは、紅茶カップが置かれるのをただかしこまって見ているだけだった。

「…で、北野くん。手術は受けてくれるんだよね。」

早速シンさんは本題を尋ねてきた。

「うん。そのつもりだけどさ・・・ところでこっちも聞きたいんだけど、手術ってどのくらい時間かかんの?」

「手術前の検査を考えると2・3日ってとこかな。北野くんは指だから、手術が終わればすぐに退院できるよ」

「場所はどこでやんの?」

「ウチのやってる病院で受けることになるね…知ってるだろうけど、聖愛会病院。そこに入院してもらうよ」

「聖愛会か・・・」

一瞬、タケシはケガした時のことを思い出した。運ばれた先がその病院だったのだ。

感慨深く自分の左手を見直したタケシは、ふと握り締めるように指先を動かしてみた。だが、やはり中指だけが真っ直ぐ伸びたままピクリとも動かなかった。

手術や入院という言葉に反応したリョウが、心配そうな顔をしてタケシの様子をジッと見ていた。

その時動いていたのは、立ち上る紅茶カップの湯気だけだった・・・

※※つづく※※

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2010/03/05 00:50
凄い人気作ですね。 ^^
本編よりもコメント読む方に時間がかかるって...。
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2009/11/29 21:30
久しぶりに拝読させて頂きました♪かなり進んでいてビックリ f ^ ^ ;
プリント配達仲間のリョウくん、出てきましたねぇ。待ってましたぁーっ☆
それぞれクセのありそうなメンバー、学校の雰囲気も、リハビリも、うーん、前途多難ですね。。
今回はケーキ出てこないのかなぁ。。あっこの終りかたは雰囲気が出てて好いですね♪
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2009/11/25 18:06
タケシ君だけでなく、リョウ君にも手術についての話を聞かせるシンさん。このあたりが何か気になります。話を聞かせないようにする方法ならいくらでもあるでしょうから…。
ついにタケシ君は手術を受けるのでしょうか?
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2009/11/25 05:00
サークルのおしらせ

サム猫さんが入会なされました。作品を書かれています。宜しくお願いします。
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2009/11/24 23:50
いえいえ、そんなことはナイチンゲールだすよ♪www

って、ひどすぎるギャグだ・・・パタ
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2009/11/24 17:46
 つぎにハプニングを期待する私は悪魔かな?
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2009/11/24 16:34
手術を受けてすぐに退院できるからいいよね。
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2009/11/24 14:12
指っていろんな映画でもかなり重要なパーツで表現されますね。
昨夜観かけて途中で止めてしまった(寝た)
「ボーンコレクター」という映画でも
死体の指だけが地面から出ていました。
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2009/11/24 14:02
早く指治るといーね☆



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