【おでかけ】(3)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/12/06 22:30:01
青年は、反応が薄いな、と思っていたが、それは、少女の見かけが幼く見えるせいで、無意識に子どもの反応を予想していたせいだと気がついた。…いや、同年代の少女でも、もう少しはしゃぐものだが。
「……もしかして、人が多くて、疲れた?」
「そう言ってるじゃありませんか。…あ、でも、静かなところへ行って休もうとかは決して」
なぜか頬を染めて慌てた様子で少女が言い募る。
「…「下心」を誘発するような言動は避けていた訳か。よほどの危険人物と思われているらしいな」
「危険だと思っているなら、ご一緒したりなんかしません。…人気のない場所には、人さらいが出るんですよ?ご存じありません?」
「ああ、人身売買組織、か。門番詰所の壁にあったな。潰しても潰しても、根絶できないらしいね、ああいうのは。需要があるから、だろうな」
まだ日も昇りきる前の、人で賑わう広場で口にするには不穏当な単語を、青年はこともなげに口にした。この青年が、ただの「育ちのいいお坊ちゃん」ではなく、いずれは国を背負って立つ身である事を、少女は改めて認識した。
「…だけど、それとどういう関係が?」
「どういう、って…私人さらいにさらわれるのはいやです。…香料商人の露店のあたりからひと組、揚げ菓子の屋台のあたりからもうひと組、剣呑な雰囲気の人たちがついてきてるんですが」
「…ああ、引っ掛けてきちゃったのかー。警備は何してるんだろうね?」
物騒な話を聞いた割にはのんびりした口調で青年が言う。
「たぶん、別口の後始末で忙しいのだと思います。軽業師の露店のところで、捕り物があったみたいですから」
少女の口調もどこかのんびりしている。
「という事は…自力で何とかしなきゃならない、って事か?」と面倒臭そうにつぶやいた青年は、続けて、「振り切る?立ち向かう?」と少女に訊ねた。
「私一人でしたら、有無を言わさず「逃げる」方を選びますが…「おいしいもの」を食べずに逃げるのは、残念です」
「…じゃあ、「立ち向かう」方向で?場所の選択は任せてもらっていいかな?」
「お任せするしかないでしょう。私はここの事は全くわからないんですから」
二人が堀割に沿ってゆっくり歩き出すと、いくつかの人影がその後を追って動き始めた。堀が広場から離れ、運河へと通じる水門の前で、二人は足を止めた。水門の脇には、水門を操作する装置を風雨から守るための小屋が設置されていた。その小屋に入る扉に、青年が手をかけた時、二方向から足音が近づいてきた。振り返ってみると、ざっと五・六人の、あまり人相風体のよろしくない男たちに取り囲まれている。
「…何者だ?おまえたちは。何が目的だ?」
返り討ちにする気満々の青年が、そのそぶりを隠し、少女を後ろにかばいながら誰何した。少女は脅えた表情を作って、口元を手で隠しながら、呪文の詠唱を開始している。
「いやぁ?兄ちゃんがこれからお楽しみなようなんで、ご相伴させてもらおうと思って、なぁ」
少女が信じられない、といった表情で青年を見上げ、一歩下がる。その途端、小屋の扉が大きく開き、中から伸びてきた手が、少女の腕を掴んだ。
少女が声にならない叫びを上げるのと、男たちが青年に襲いかかるのとは、ほぼ同時だった。
青年が、襲ってきた一人目を躱して首筋に手刀を叩き込み、二人目の鳩尾に蹴りを入れて、三人目の右腕を掴んだ時、少女が呪文の詠唱と周囲の探索を終えた。
後をつけてきたもうひと組が、どうやら離れたところで様子を窺っているらしい、と判断した少女は、奥の手を出すのは見合わせ、正攻法で拘束から逃れることにした。具体的には、大きく息を吸って急にしゃがみ込み、体のばねを使って相手の腹部に頭突きをくらわす、という方法で。自分の体格では威力不足だと感じたので、相手の胸部に向けて、小さな衝撃波もおまけしてやった。
少女が自分を捕まえていた相手を沈めて振り返った時、青年は最後の一人が逃げ出すのを追いかけようと立ち上がったところだった。少女はとっさに足元に落ちていた石を拾い、衝撃波に載せて逃げる男に投げつけた。小石は貧相な男の背中にぶつかり、その勢いで男は倒れた。
「…お見事」と青年がつぶやき、その場にへたり込んだ。
少女が青年に駆け寄ろうかどうしようか、と逡巡しているところへ、第二弾が現れた。
人数こそ四人と、さっきよりも少ないが、服装や身のこなしから、さっきの連中よりたちが悪そうに見える。
「別口の登場か?同じ質問をしていいものかな?」
青年の軽口に対する返事は無かった。
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……おかしい。テーマは「デート」のはずだったのに、なぜにこういう展開に?
「吊り橋効果」でも狙っているのか?
は
何者だ! か 何が目的だ?の一つで良いと思います
2回聞くのはどうかと思います
風呂敷はどんどん広げましょうo(*^▽^*)oエヘヘ☆
第一群は人さらいで二群は王子の暗殺目的でスーパーピーンチというのはどうでしょう?
4に期待します
では