Nicotto Town


人生カカト落とし


厨設定にもほどがある

久方ぶりに書店に行ってまだ買ってなかったSFマガジンを購入。
……したけど、創刊50周年特大号其の一ということで、厚さは常の倍、値段は常の2.5倍、思わず財布をのぞき込んだ。
同時に、銀河乞食軍団合本版の二巻が出てたので、これも一緒に持ってキャッシャーへ。
例によっての電話帳本、一巻が売れなきゃ発刊されない可能性もあったらしいので、出てくれただけで御の字だけど、やっぱり高い(文庫本五冊分だから文章量考えれば高価なわけではないけれど)
二冊で一葉さんが飛んでく価格に、それ以上本を探す気力が(いや、財力がか)なくなって帰宅した。
でも、なんだって銀乞買うときはこんな「SF好きじゃ~」的主張をするような取り合わせになるんだろう?

ところで、随分前にUPした銀河乞食軍団についての文を書いたとき。
作者野田昌宏氏の文章のいわゆるノダ節は、先輩作家、今日泊亜蘭氏の影響だろう……ということで、今日泊さんについて書くべく検索して顎が落ちた。
(長くなりすぎて、今日泊氏についての一文は、結局削ったけど)

父上が画家だというのはいつだか読んで知っていたが、御母上が女性記者だったのだそうで。
明治生まれの人ですぜ?
職業婦人自体が非常に珍しかった時代。
男尊女卑だった当時の社会で、第一線で記者として仕事をする女性なんて、どれだけ優秀だったのだろう?
そんな父母の間に生まれた今日泊氏がまた凄い。
まだ黎明期にSFを愉しめる余裕があり、直木賞候補になる作家、三十カ国語を解する在野の言語学研究者、という……
(しかし、今日泊さんといい、トールキン先生といい、このテの多くの言語を解する人は、遊びで人造言語を作らずにいられないのだろうか?)

こんな背景、フィクションだったら「ンな莫迦な!」と鼻で笑われる。
新人作家が設定として提示したら、編集から却下されるだろう。
俗に言う厨房設定というヤツだ。
でも、現実だ。居るところには実在する。

考えてみれば、嘘くさいほどドラマチックな人生を送っている人は結構いる。
作家、ジェイムズ・ティプトリー・Jr.の生涯なんか、波瀾万丈すぎてフィクションみたいだ。
『指輪物語』の、アラゴルンとエルフの姫アルウェンの恋は作者J.R.R.トールキンと奥方との来歴が元だろう。
(大仰にグレードアップされていると感じるかもしれないけど、むこうの人には、宗派の違いは日本人が感じるより重いだろうし)

他者からすれば、信じがたく思える人生でも、当人には時として退屈な、普通に存在する日常だ。
逆に面倒で、しんどくて、平穏だったらいいのに、なんて場合もあるかもしれない。
某作家が異国に強制的に連れ去られた人の人生について、
「普通なら平凡だっただろう人が、非凡な人生をおくれたんだからいいじゃないか」
という意味のことをのたまった。
ふざけんな、平凡だろうが非凡だろうが、幸せかどうか決めるのは本人だ。(そして強制的に選択権を奪われることは、幸せの妨げである場合が大きい)その作家さんは平凡が嫌なのだろうけど、非凡は=幸せではない筈だ。


それぞれの人にそれぞれ自分の人生がある、それだけ。
それぞれに普通でそれぞれにドラマチックな、自分の人生を頑張るっきゃないんだよな~

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2009/12/12 22:40
絵夢さん
いらっしゃいませ。
銀河乞食軍団、最初の数冊しか手に入れられていなかったので、今回の合本版は嬉しくって。
今日泊さんの本も買っておくべきだったなぁ、と後悔(昔は図書館派だったので)
『我が月は緑』掲載のSFマガジンはあるんですけど、段ボールの中です。
読み返せない〜
アバター
2009/12/12 14:31
銀河乞食軍団はいいですよねぇ。
先日、帰省した際に押入れを捜索したんですが、どうも数冊抜けがあるようで(^^;。
全巻読んだと思ってたんだけどなぁ。

合本版買うのももったいないし・・・悩み中です。

昔の人は、造語にせよ文章にせよ、本当に言葉で遊ぶのが上手だったんでしょうねぇ。
SFじゃありませんが、ちょっと癖のある「フィネガンズ・ウェイク」がまだ読破できません・・・。



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