タケシの武勇伝…第二部(1)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/12/17 11:46:45
---第1部あらすじ---
将来を有望視された野球少年北野健(タケシ)は、中学3年の冬、不慮の事故で左手に銃弾を受けてしまいボールが握れなくなってしまう。
8ヵ月後、仕方なく進んだ地元の高校で鬱屈した毎日を送っていたタケシは、成績不振者が集められる夏休みの補習授業で佐々木真也(シンさん)と出会う。
シンさんの家に招かれたタケシは、彼の話から事故の事情を知り一時憤慨するも、手術によってもう一度ボールを握れるようになると勧められる。
戸惑いながらも、自分を応援してくれるさまざまな人々の思いに触れたタケシは手術を受けることを決断した…
≪術後の朝≫
入院から4日後の朝…
包帯で手首までグルグル巻きにされた左手を抱え、タケシは玄関に待っていたリムジンへと身を潜り込ませた。すでに後部座席にはシンさんと塙さんが対座しており、タケシがシンさんの隣に腰掛けるとリムジンは滑るように走り出した。
「痛みはありませんか?」
気遣いからか、塙さんは対面したタケシに尋ねた。
「いいえ全然。ちょっと左手がムズムズするくらいです…」
「そうですか、それなら問題ないです。今日は念のため固定してますが、予定通り明日の朝には包帯を取って構いません。ただし、くれぐれもいきなり力を入れて動かそうとはしないで下さい。おそらく動くでしょうが、ムリに負担を懸けると繋がったばかりの神経が切れるかもしれませんので…」
「はい!」
「では、これが明日からのリハビリ行程です。指の具合によって多少変化するでしょうが、やってもらう詳細はこちらに書いてありますのでくれぐれもムリはなさらぬように…」
渡された紙には、1時間単位で行うリハビリ行程が3ヶ月先までびっしり書かれてあった。まるで新聞のテレビ欄のようだった。
「うわぁ、細かいっすね…」
「タケシくんの場合、指の回復だけじゃなくボールを投げるために体を作り直さなきゃならないからね…」
相変わらず青白い顔のシンさんが横から声を掛けた。
「高齢者だと神経が癒着するまでに1週間以上は懸かるけど、君の場合は4・5日で大丈夫なはずだよ。問題は指の力がどこまで回復するかだけど、こればかりはリハビリの経過次第だから、もしかするともっと時間が懸かるかもしれないし、逆に早まる可能性もあるよ。」
「えっ、早まる場合もあるの?」
「うん。でも、余計にやったからって早まる訳じゃないよ。筋肉を強くする訳じゃないから負荷を掛けたからって強くなるってもんじゃないしね。あくまで神経の反応速度が問題なんだ。要は、どれだけ指を早く動かせるようになるかだね…」
「反応速度か…」
タケシは、思わず渡された紙を見直した。指を早く動かすリハビリが何かを探そうとしたのだ。
「シンさん、この【タイピング】って何?」
「ああ、それが指を速く動かす運動だよ…でもさタケシくん、まだまだ焦っちゃダメだよ。データだとその運動はちゃんと癒着してからやらないとまた神経が切れちゃうからね。だから、念のため2週間以上経たないとリハビリ器機は渡さないよ!」
「2週間後か…」
2週間後は8月25日。夏休みが終わるちょうど1週間前だ。
知らず知らずのうちに焦りが出始めたタケシを諭すようにシンさんが釘を刺した頃、リムジンは団地に続く路地へと差しかかっていた…
※※つづく※※
第2部、大いに期待!
はやる気持ちを抑え、彼がこれからどんな「武勇伝」を打ち立てていくのか非常に楽しみです。
楽しみに読ませていただきますよ。
タケシがんばれ!
手術を受けたタケシ君、焦る気持ちはとてもよくわかります!!!
でも、リハビリは時間との付き合いですから根気良くがんばってもらいたいです。
今後も期待です!
頑張って下さい
寒いのに打つのが大変だろうに・・・・
樹梨亜のとこからズバッと参上←
ステプですー
つーか小説スゴッ
そういう才能って羨ましいと思うww
また、野球ができるようになればいいですねぇ~。
それまでが、、、大変なのかな?