タケシの武勇伝…第二部(2)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/12/18 15:33:46
---第1部あらすじ---
将来を有望視された野球少年北野健(タケシ)は、中学3年の冬、不慮の事故で左手に銃弾を受けてしまいボールが握れなくなってしまう。
8ヵ月後、仕方なく進んだ地元の高校で鬱屈した毎日を送っていたタケシは、成績不振者が集められる夏休みの補習授業で佐々木真也(シンさん)と出会う。
シンさんの家に招かれたタケシは、彼の話から事故の事情を知り一時憤慨するも、手術によってもう一度ボールを握れるようになると勧められる。
戸惑いながらも、自分を応援してくれるさまざまな人々の思いに触れたタケシは手術を受けることを決断した…
≪リハビリ開始の朝≫
翌朝4時…
タケシは、洗面台の前でそっと包帯をほどくと恐る恐る左手を動かした。他の指に少し遅れながらゆっくりと動き出した中指は、最後にはしっかりと拳を作ることができた。まだ強く握れないことは変わらなかったが…
しかし、拳を作れた瞬間、タケシは心の中で「よっしゃぁー!」と叫んだ。伸びたままだった指が動いただけでも嬉しかったのだ。
…これでリハビリを続ければもっと良くなる!
そう思うと気持ちも高ぶるのか、歯を磨きながら早速、昨日貼り付けたリハビリ行程表を覗きこんだ。ご丁寧なことに、そこには起床時間まできっちり記されてあった。
中学時代から新聞配達を続けているタケシは、いつも朝4時に起きていた。二度寝できる休みの日でも6時に起きる癖が付いている。だが、今日は休みの日だというのにいつもの朝4時に起きてしまった。今日包帯が取れるのを待ちきれなかったからだ。
すると、弟のヒロシがちょっと遅れて洗面所に入ってきた。
「あれ、兄貴早えーなぁ~…今日まで配達休みだろ。ファ~」
大きなあくびをしながら歯ブラシを取ったヒロシは、突然何度も目をしばたたかせた。タケシが指を全部曲げて歯を磨いていたからだ。
「もう曲がるんだ!」
ヒロシは驚いた声でこう言った。
「んっ?んー!」
ハブラシを咥えたまま大きく頷いたタケシは、そのまま何気ない素振りで歯を磨き続けた。その態度は、あきらかに照れくささを隠そうとしていた。
…そっか、もう曲がるんだ!
自分の隣で歯を磨きながら照れくさそうに鏡を見つめているタケシを見て、ヒロシは思わず微笑んだ。兄のこんな照れくさそうな姿を見たのは、中学時代にインタビューされた時以来だったからだ・・・
※※つづく※※
ボールを投げられるようになるまでの道のりは遠いでしょうが、頑張れ!
ステプポチ
よく伝わってきます。
続きが楽しみ( *´艸`)
ヒロシ君に見られてこの反応だと、他の人にはもっと照れてしまうでしょうね。
今僕も突き指してるもので
エライ、エライ♪
指が曲がるようになって・・・、まずは良かった良かった♪
これから、ゆっくりリハビリにはげむんですよぉ~。
これからリハビリして
どおなるのかなぁ?