Nicotto Town


おうむたんの毒舌日記とぼうぼうのぼやき


以前書いた物語「いんこな日々」続編

クリスマスの輪廻-その3-

「そんな…」
セキセイのはいったかごを持って、私は凍り付いてしまった。
前回と同じ展開なのかな?
私とセキセイがこの現実で共に時間と空間を共有することは、やはり無理なのだろうか?
「いたっ、あっ?もしかして、遅かったですかっ?」
男の迫力は鬼気迫るものがあった。ちょっと怖いんですけど。私の目が怯えていたのだろう。男の勢いが少し緩んだようにみえた。
「す、すみません。数日前から、この店の前を通るたびに、ここにいたセキセイがなぜか気になっていたものだから。うちにいるセキセイの嫁さんを探していて」
と彼は頭を下げた。
「お嫁さんに…ですか」
私がつぶやいた。新しい展開がセキセイの前にやってきたのだ。どうしよう?どうする、セキセイ?私は抱いているかごの中のセキセイに問いかけた。セキセイもとまどい迷っているようにみえた。
「いや、ほんとすみません。どうしてなんろう?もっと若い雛を実は探すつもりでいたんです。なのに数日前、ここでみかけてから、なぜか、とても気になって気になって。で、今日もたぶん迷いながら通りすぎるだろうと思っていたんだけど」
ほんと申し訳なさげに男が言った。
「なのに、セキセイがいなかったんで、びっくりしてしまって。気がついたら…ほんとすみません」
男が私に頭を下げた。
「いえ、そんな。あのまだ、飼い主になっていませんから」
「え?」
「どうぞ」
私はかごを差し出した。
これでいいよね?やっぱりこうなる運命なんだよ、きっと。私はセキセイに心の中で語りかけた。
「そんな、いえ、やっぱり申し訳ないです」
男がすっかり恐縮したように、手を横に振った。この人とならセキセイはきっと楽しくやっていける、私の中で心が決まった。セキセイもうなずいた。
「いえ、ほんと、私、いいんです」
私はきっぱり言うと、男にかごを押し付けた。
「いいんですか?え?あ?ちょっと待って!」
振り払うようにその場をかけだそうとした私に男の声が追いかけてきた。
「あの、これ僕の名刺ですから」
強引に名刺を手渡された、そんな気がした。でも私は、セキセイとの二度目の別れに耐えることで必死だった。無我夢中で店を飛び出した。
また慌しい別れ方をしてしまった。今度会えるのは、何年後のクリスマスだろう?

イヤ、アンガイチカイショウライ、アエルカモシレナイヨ?
風が耳元でささやいたような気がした。


二、三年後のちょっと未来のクリスマス。
とあるホテルでクリスマスに挙式した一組のカップルがいた。仲人はセキセイインコだと言い張るちょっと変なカップルであった…。

(おわり)

アバター
2009/12/26 21:28
感想、コメント感謝です。

正直、クリスマスといんこを結びつけて
創作したお話で、私の中でいんこのお話が
完結してしまったようです。
新しいいんこなお話はまったく別の視点から
書くことにならざるをえないなぁと思います。
ここにアップして、そのことを気付いた思いです。
読んでいただいて 本当にありがとうございました。
アバター
2009/12/26 21:18
こんばんは☆彡

わぁ、ステキです❤出会いはきっと必然なんですね(^^)
楽しく拝読いたしました✿ありがとうございました!!
アバター
2009/12/25 19:43
ぅわ~^^ あたってた~、ステキなラストを人´Д`*)ありがとぉ☆

期待通りです(*μ_μ)ポッ  面白かったよ
アバター
2009/12/25 15:40
ぼうぼう  様へ
今日の20:00~クリスマスパーティーします。
私のブログをみてくださいね^^
少し長い文かもしれませんが、参加してくださいませ。
アバター
2009/12/25 09:59
すご~いこれってもしや
展開がすごく面白かったよ
一緒に住めるようになるんだね
良かった❤
アバター
2009/12/25 00:58
耳元でささやいたような気がしたのは、天の声じゃーっw

それと…
プレミアムガチャにドリーム券とか、ハズレってあるんですか?



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