君への忘れ物(4)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/12/25 19:19:10
「22日は?彼は動ける状態だったの?」
宅配便の発送された日だった。これがフィリユーレが宅配便を送っていたなら全てのピースがはまる。だが
「20日に、事故に遭い、23日に死んだ奴が22日に動けると思うかい? 当然病院のベットの上さ」
まあそうだろうな…。
せっかく見つけた最後のピースは、はまらなかった。
だが、次に男は奇妙なことを口走っていた。
「そういえば、22日は意識を保っていた最後の日で、うわごとのように『やり残したことがある』と繰り返していたらしいよ」
やり残したこと?それが指輪の配達だったのだろうか?
だが当の本人は、動けるはずもない。
依然として、はまりそうだった最後のピースは、きっちりとは、はまってくれなかった。
「フィリユーレの遺品とかは、どうなっているの?」
サラは、2人に執拗に詰め寄っていた。
「棺に一緒に入れてやろうと思って、集めてはあるが…。あんた、あいつの関係者かい?」
「そうかもしれないわ、少しその遺品見せてもらってかまわないかしら?」
「そりゃまあ。断る理由もないが」
女主人とは別れ、男性と3人でフィリユーレのマンションへと向かった。
「ずいぶん、簡素な生活だったんだな」
アムネジア帰りの独身貴族なら、もっと裕福な暮らしも出来ただろうに、彼の部屋は極めて質素、生活感も薄く、どこか寂しげだった。
「これだよ」
男はダンボールをひとつ抱えて現れた。
どれも、価値があるようには見えなかった。
ガラクタの山…。それが奴の生きてきた証なのだろうか?
サラは、山をかき分けると、古めかしい一冊の本を手に取った。
パラパラとページをめくり、読みふけったり、止まったり…。
10分もそうしていただろうか。
突然、パンっとその本を閉じると表紙の埃を払うような仕草をしたあと、丁寧にダンボールに戻した。「Diary」?日記だろうか?かすかに読めた表紙にはそう書かれていた。
「ありがとうございました。これで帰ります」
男は、なにやらいっていたが、サラは
「失礼します」
と、きびすを返し歩き出していた。
俺もあわてて、礼を述べ追いかけた。
「サラ、おいサラちょっと待てって」
「なあに?」
「説明してくれよ、何かわかったのか?」
「そうね、私がモテモテだったってことかしら」
「…え? ………えーー??」
「さて、帰りましょうか」
呆気にとられた、俺を置いてサラはスタスタと歩き出していた。
「ちょっと待てって」
足早に、その傍らに追いつき、歩調を合わせた。
「送り主は、フィリユーレで間違いないんだよな? だが彼はその時…」
などとブツブツつぶやいていると、サラは足を止めた。
勢い余って、彼女の背中に軽くノックしてしまっていた。
「おいおい、なんだよ?」
「セント・ニコラス」
「ん?」
「サンタクロースの本名よ」
「ああ」
「彼、司教様だったんだって、トルコの」
「…?」
何を言いたいのか、よくわからなかった。
すごく大事なことのような、ほんとにどうでもいいことのような…。
サラは時々こういった感じのことを突然言い出すやつではあった。
しばらく、そうして立ち止まっていると
「あ」
何かに気付いたようにサラは、空を見上げた。
俺も、つられて空を見上げる。
夜空は蒼く濡れていた
その蒼い闇の彼方から、そっと吐き出される白い息のように
はらはらと雪が、こぼれおちてきた。
「メリークリスマス♪」
「メリークリスマス&ハッピーバースディ サラ」
(END)
(ご協力ありがとうございました)
saraさん lemonさん はなちゃん 鞠(まり)さん ヨカン・コシカさん
最初にあるように、ちょっと不思議な物語なのです。なのであえて詳細は語ってはいません。
それぞれが描く謎解きが、正解なんじゃないかな? サラはモテモテですねぇw
サンタさん 素敵ですね~✿
サラさんは モテモテですね^^ なんだかせつなさも残りますが・・・
まったく季節外れに読んでしまってすみません(´A`。)
またまた素敵なお話 ありがとうございました☆
プリントアウトしなくてもwクリスマスが終わったらすっかり忘れてください!
謎解きは、おまけ編で!
アムネジアはあんまり関係ないのですが、stニコラスの話を知っているとかなりわかるかもしれません!
おまけ編は、年内に書くのかなぁ?書きたいですねw
遅いよw3日遅れじゃないかwありがとうございます。
ちんぷんかんぷんすぎるよねぇ・・・。力不足ですみません。
ちょっと情報少なすぎましたね~。(その蒼い闇の彼方から、そっと吐き出される白い息のように
はらはらと雪が、こぼれおちてきた。)この辺は良く書けたような気がしますw
聖ニコラスとアムネジア(アガサ・クリスティで覚えました^^)は理解してましたけど、
おまけ編があると、もっと理解できそうです。
誕生日おめでとでした~ヾ(*ΦωΦ)ノ ヒャッホゥ
お疲れ様です~。
出来ればクリスマスの夜に読みたかった><
えええ?納得しちゃったの?wでも押さえるとこは、押さえてるのがなぁw
結局伝えたいことは、「みなさんも幸運なクリスマスをお過ごしください」ってことだったし、クリスマスのアップにこだわったのもそのためです。
さすが、サラ!ツボは外さないね。
割と有名な話だと思っていたのですが、ご存知なかったですか。
St.Nichlasは4世紀頃トルコ南西部MYRAという町の司教らしいのです。
セント・ニコラスをオランダ語でSint Klaes またはSinterklass が英語でなまってサンタ・クロースとなりました。
セントニコラスを早口で何度も言ったらサンタクロースになるかと思いますw
大体当たっています。ニコラスは1話でアイツが言っていた名前です。
サンタが突然出てきたのには、意味があります。1話のだれかのコメントにヒントあるかもしれません。
確かに、自分でも情報が少なすぎるなぁと思ってます。非常に細い糸のようではあります。
ヨカンさんは、名前のアイデアを出して貰いましたよ。また参加してください!
さすがだなぁ~そこまで詠み切られてしまうと降参ですね。
結局は、そこに回帰する話です。
最低限のピースしか見せてないもので、非常に難しいと思います。フィリユーレは司祭ではありません。
サンタクロースのモデルといわれるセント・ニコラスがトルコの司祭だったという話であってね。
この話も、実は、絡んでいます。 アムネジアは(amnesia)記憶喪失とか健忘症って意味の英語です。
そこで、主人公が記憶喪失になったから、あとからつけた地名ですので深く考えなくて大丈夫です。
フィリユーレも名前だけでFF11とは一切関係はないので、単独で考えてもらって大丈夫です。
謎を解くヒントは、いくつかちりばめてあるのですが、書いていない部分をひとつ出すなら
「ラーアルはフイリユーレもサラを好きなことを知らずにいた」
そのうち、おまけ編を書きたいと思います。
冬の夜空の様な綺麗な文章、拝読させて頂きありがとうです((´∀`*)/
わかったようなわからないような~…という感じです。
…ところで私何か協力しましたっけ?;名前?
ニコラスって1話で出てきた名前ですよね?
そして日記には何が書いてあったのだろう。
動けないフィリユーレの代わりにサンタさんが届けてくれたのかしら?
サラってば秘密主義すぎますよぉ~(笑)
なぜか残念・・・・
ほほ~。
なんでか納得してるのは何故!?
☆Merry X'mas&Happy Birthday 恭介☆.。.:*・゜だね♪