Nicotto Town


人生カカト落とし


真っ昼間からインディゴの夜?

電車の釣り広告で『インディゴの夜』の文字を見た。
ドラマをやるらしい、そういや原作の文庫が平台に並び直してたな~、と思ったが、放映時間に驚いた。
お昼だった。お昼の帯ドラだった。
なんですと?
ライトミステリとはいえ、ホストたち(やや風変わりであるにしても)が探偵役する夜の世界のお話が、昼ドラかい。

そぐわんなぁ~と思いかけて、あることかも、と納得した。
話の内容や舞台になる世界とは別の部分で、こりゃウケるよな~という要素がある。
人物配置の構造だ。
語り手・視点役が三十代の女性で、オーナーとして店の男の子たちに囲まれ、時に頼られ、時にかばわれる。
語り手役(ドラマならヒロインになるのだろう)の造型も、ホストクラブオーナーといっても、蓄えをはたいて仕事仲間の案に乗っただけの、一方で地道に働いている人物になっていたりする。
個人的にはそのあたり、ぬるいな~、ずるいな~、(そして読者ウケ考えるなら上手いな~)と感じてしまうんだが。
主な視聴者層が、専業の主婦にせよ産休育休中にせよ、女性である可能性が高いことを考えると、なんというか「オイシイ」構図になっている。

原作は文庫になっている2冊目まで、ツルッと楽に読んでいる。
ミステリ読みではないので、そっち方面でどうなのかはよくわからないけど、推理するには要素が足りない話が多いような気は、ちょっとする。
気楽にたのしんでるけど、なんというかモヤモヤするものがある。

人物を、事態を、本当に追い詰めてしまうことは、ないよね?

食い足りない。物足りない。
そんな話もあっていい、それが魅力の話もあるだろう。
でも最近、そういう追い詰めない、優しい、軽い話が多い気がする。

大崎梢の〈成風堂書店事件メモ〉シリーズとか、畠中恵〈しゃばけ〉シリーズ、矢崎在美の〈ぶたぶた〉シリーズ、あたりにも似たようなモヤモヤを感じている(〈しゃばけ〉はかなり抑え気味だけど厳しさを書きたそうに感じるし、〈ぶたぶた〉は、基本「いい話」しつつ、話の仕掛けの危うさに自覚があって時に変化球を投げるけど)
まあ、シリーズ全部読んでないものもあるので、実はあとの巻でおそろしく厳しい話をくり出しているのかもしれないけれど。

わたし自身ストロング・スタイルの話はなかなか読みづらくなっているってのも絶対にあるのだが、推される話・よく見る本に、このテの、読み手に優しい話が増えているように思う。

で、そんな話がドラマ化する、多くの人に好まれるだろうと考えられてる現在の状況がすこーしだけ心配になる。

……みなさん、疲れてます?

再度言う、追い詰めない、口当たりいい話もアリだ、軽やかに楽しい。
だけど、やたらそんな話が必要とされるほど、重い物がしんどい時流ってどうだろう。

できれば、歯ごたえ多すぎ・胃にこたえるような頓狂な物語が、たくさんあらわれ、受け容れられ、楽しまれるような余裕のある世にならんことを。

小説が読者に優しくあるより、世界に余裕があるほうが、そりゃ絶対いいんだから。

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2010/01/08 07:19
そうなんだ・・・
視聴しなくて正解だ
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2010/01/07 23:49
MYSTYさん
昼のドラマを見る人というより、頑張ってる人にすこしおいしい……という部分が一般受けしそうだなぁと。
たまたま……っぽいですよね。創元ですしね〜。

山鳥さん
文章でふれちゃった手前、一応一度は見てみないと……と一話をビデオで録って見てみたのですが、
え〜、十数分でTV消して、テープは別のモン重ね録りしました。
ヒロインは最初、原作より恵まれた立場にいたのに、まったくヌルい、別人になってました。
で、借金のカタに店長を「させられ」ていました。……駄目じゃん。
インディゴの発想元も彼女じゃなくなってましたし。
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2010/01/06 06:43
インディゴの夜、イケメンいっぱいに設定して
美味しく処理すれば
昼メロ向けだよねぇ

ドラマに向いているなぁと思っていたけれど
まさか実現するとは思わなかった
みれる時間帯じゃないので
実ドラマ視聴しそうにないなぁ・・・
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2010/01/06 01:21
言われて目からウロコが落ちました。
読んだときは「なんでこんなミステリファンに受けなさそうな設定なんだろう」と思ってましたが、
そうか、昼のドラマを見るような方々にはドストライクの設定だったのか……。
狙ってやったのかなあ。東京創元社だし、たまたまのような気がしなくもないですw
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2010/01/06 00:15
ヘルミーナさん
友人に編集者さんと話すことがある……くらいの人がいるのですが(特定できるようら書いて迷惑かけちゃいけないのでこのくらいで。スミマセン)不景気のせいで、変わった物、新しい物はかなり実績のある人でもなかなか出させてもらえない状況になっていて、その人くらいの立場はチャンスが激減するとなげいていました。
出版する側にも余裕がないみたいです。

山鳥さん
最初の一押しはやっぱり不景気なのかもしれません。
経済不安が常に意識下にある状態だと雪だるま式にほかの不安も増えますから。
「夢」が抱きにくい時代なのかもしれませんね。
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2010/01/05 06:48
疲れているというのは、確かだと思う
その疲れがどこからきているのか
よくわからないまでも・・・
余裕、無いですよね、
大人にも、社会にも

その余裕の無さが、
余計真綿で締めるように
じわじわと
疲れを増加させている
悪循環を起こしているような・・・

ガッツリ取り組む読書、年に何度もとれないもの
殆どライトな読書に逃避中
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2010/01/04 23:40
そうですね…。
わたし自身も歯ごたえがあって咀嚼するのにちょっと骨があるけどとっても美味しい、
そんなものばっかりのフルコースや満漢全席、
またはとにかく安くておいしくてぎっとぎとの味つけの定食屋さん、
そんな本が(小説にかかわらず)大好きなのですが、
やはりそんなものばかり味わう余裕が減っている気がします。



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