Nicotto Town


人生カカト落とし


コードギアスと似てますか?

ネットをあちこち覗いていて、意外な文章に出会ったことがある。
すこし前に放送され、人気だったアニメーション『コードギアス 反逆のルルーシュ』を『装甲騎兵ボトムズ』の「正当な後継」と評していたのだ。

なんですと~?

驚きで、モニタの前で固まった。
似てますか? 似てないやん。それっぽい点があるとすれば――
コードギアスの監督はボトムズの監督の許で仕事をしていたこともある弟子筋みたいな人だし、ギアスの主人公ルルーシュの最後にやったことは、ボトムズ「クメン
編」でカンジェルマン殿下がとった行動と似ていたけど、あとは、えーと、あれれ……?

(以下コードギアス・ボトムズ両作品の内容にふれます。ネタバレもあるので嫌な方は回避をお願いします)

プロフィールにも書いてるとおり、わたしは結構いい年で、ヲタクを名乗るには気力・財力・根性に欠けているが、一般の人から見れば充分にそのテの人間だろう。
で、その昔、個人的にとても好きだったのが『装甲騎兵ボトムズ』だった。
……というか、今でも好きだ。
当時は最初のマクロスが人気絶頂で、故意に似た状況で真逆を行っているのでは、と思えるボトムズが好きな人間は本当にすくなかった。
話は暗いと言われたし、絵は当時の基準でもよく荒れた。
マクロスでは主人公と女の子ふたりの三角関係が焦点だったのに、ボトムズにはモブでない女性登場人物自体五人しかいなかった(うち一人は名前も不明な「ロッチナの秘書」、もう一人は中年のオバさんだったという……)
周囲見まわしても女性ファン皆無、見てるのはプラモ作りが趣味の男子ばかりだった。

コードギアスの人気の理由は、華やかなキャラクターと視聴者の予測を裏切るストーリー展開(あんまりだ、と言う人もいるけどw)だろう。
美形の男性キャラ、可愛い女の子、てんこ盛りだ。

対してボトムズは、人物や兵器等はむしろ野暮ったく、作品に現実っぽい手触りを出している。
「リアルロボットアニメ」と称されることもある作品だが、巨大な二足歩行ロボットが兵器として出てくる時点でリアルなわけがない、見る側だって承知しているが、その上でデザイン・演出で現実的に感じるよう「見せて」いる。
そして、やはりストーリーを「起こってしまった偶然は必然たり得る」と、強引に展開させていた。

……存外行き当たりばったり意外なストーリー展開って部分は似ていたりする。

そして、それ以上の共通部分。
主人公が強い物語である、という点だ。
物理的な力とか、精神力とか、立場とか、そういう問題ではない。
物語の比重が主人公にかたよっていて、それ以外の部分が薄い。
主人公の行動こそが物語、というタイプのストーリーなのだ。

ボトムズでは、一兵士である主人公が、秘密の一端に触れてしまい、生き延びるため戦ううちに大きな流れに巻き込まれる。
主人公をめぐって周囲が動き、逃れよう・生き延びようとする彼の行動が反応を生み、やがては舞台を大きく動かす。
ミリタリー色の強いメカ描写など、作品世界にもファンはつき、別主人公によるスピンオフも作られたが、人気面でも、後発のOVAの内容でも、作品=主人公の部分が大きかった。
過去発売された作品のカプセルトイのラインナップに、他はロボットばかりのなか、ただひとつ主人公の人物フィギュアが入っていたのが印象的だった。

ギアスではタイトルに主人公の名前が入っていることでも明白だろう。
主人公ルルーシュは、母の復讐と、妹と自身の未来のために、祖国とその皇帝である父を倒そうと謀る。
手段を選ばない彼の行動に周囲は振り回され、世界が動く。
才がありながら本来の地位を剥奪され、それに抗して行動するルルーシュは思春期の万能感と苛立ちを形にしたようなキャラクターだろう。
ある意味中二病だが、だからこそ若い視聴者は共感しやすい。
しかし制作者はある意味傲慢な「若さ」に対し実は意地が悪い。
事態がかなりの部分主人公の思惑を外れて皮肉に展開し、終盤で見える世界の実像は彼の考えていたものとは異なっている。
最終的に主人公は、それまでの理想を嘘にせぬため現実に向き合い、自身の行いの責任をとることになる。

両作品ともに、主人公の行動こそが物語の主軸であり、その焦点は主人公にありつづける。
それに付随するように、ギアスではキャラクター、ボトムズではメカ周辺の雰囲気が、それを支えてファンを引きつける物として存在する。

主人公の志向するものも、メイン以外の魅力となる要素も真反対に近いけど、作品構造、作品を成立させる手法は案外似ている。

そんな結論につらつら考えて落ち着いたが、両作品のファンはまず重なっていないし、これだけ長々書いても、おそらく誰も面白がらないだろうことがちょっと虚しい。
意外すぎる相似だと思うんだけどな~

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2010/01/13 23:12
ぢょほほんさん
機会があるようならボトムズは是非にでも(ファンの言ですね、完全にw)
でも、戦争の中で育ち、無口で感情表現が下手な元特殊部隊所属の脱走兵が、巨大な力に追われながら徐々に人間らしさを取り戻していく……てな部分はお好みなのでは、と思います。
特に前半の、何をも持たぬ一兵士が生き延びるために戦う……みたいなところが好きです。
なので、後半の展開や後発ビデオシリーズはちょっと残念でした。

絵夢さん
ガリアンも、少年主人公のせいでややテイストが違って見えますが、序盤越えると地味で重厚な騎士戦(のようなメカ戦)、相手なりの理をもった敵、等わりと重い物が好きな人向きになっていきます。
助けてくれる謎のメカのパイロットが姿を現したら、美形じゃなくて太鼓腹の中年、というあたりもボトムズと同じスタッフというか何というか……w
アバター
2010/01/13 01:52
主人公集中型ってのは、それしか言い様がないぐらいそうだと思います(^^)。

ガリアンはなんか相性が悪くて数話でやめました(^^;。

絵の荒さは・・・もうどうでもよくなってたかも(^^;。
青の騎士は、おっしゃる通りなんでしょうねぇ・・・全然印象に残ってませんから(^^;。

すかさはさんの観察眼が羨ましいです。
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2010/01/13 01:22
なるほどー、


ボトムズとルルーシュの相似は、珍妙でも奇矯でもなく、
一見とんでもないようだけど良く考えてみたら実は、
主人公の比重が高いというところが共通している、と。

主人公の比重って部分は、未見の私には良くわからないのですが、
両方とも見比べてみたくはなりました。


・・・・・まーその、ルルーシュはともかく、ボトムズの再放送をしているところがあるかどうかっていう問題はありますけどねぇ。

CATV引いてますが、案外私の観たいアニメはやっていなかったりするんですよね・・・
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2010/01/12 22:54
絵夢さん
レス、遅れてごめんなさい。昨夜は力尽きましたorz
ボトムズ、演出や世界観はとても良かったと思います。キリコのキャラは……ええもう、大好きです。
ただ、当時の作品として完成度が高かったか、と言われると、Yesというのは身びいきな気も。
ほぼ同じスタッフのガリアンあたりと比べると、その絵の荒れっぷりは明らかでしたから。
でも今なら作画崩壊といわれるだろう、作画スタッフが個性を押し通した部分は嫌いじゃありません。
青の騎士は、ライターさんが分かってないな〜というか、かなり不満がありました。

ボトムズとギアスに同じ点があるとすれば、フィクションとしての構造が主人公集中型である、というくらいでしょう。
ただ、嫌味として突っ込まれる程度にストーリーがあさってに進む、という部分は似ているかもしれません。
これについては、ボトムズは多分本当にある程度行き当たりばったり、ギアスは行き当たりばったりに見えるよう意地悪く設計されていたのではないかと。
コードギアス、ネタ的に見ていて思い入れはないのですが、人気を集める主人公らキャラクターたちに「世界は君たちが考えてるほど簡単じゃないよ」とばかり冷や水を浴びせる姿勢は面白い、嫌いじゃないな〜、と今更ながらですが考えています。
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2010/01/12 02:40
ぢょほほんさん
えー、両方ともを通しで見ている人がそも少ないだろうから、そも虚しい論立てなんですけど。
(ギアスは周囲に見ている人がいて、時に抜けつつ惰性気味に話のネタと見ていた部分が大きいです)

そう、フィクションにはままある作品構造なんですけど、二作品とも主人公の比重がえらく重いんです。
ある意味主人公の魅力(両作品の主役の方向性はまるで似ていませんが)が話を支えている。
この偏り方は正直、ハガレンやコップクラフトの比ではありません。
(ファンの言いぐさではないですが、一緒にしたらハガレンやコップクラフトに失礼というか……)

で、その上でストーリーが無茶な方向にカッ飛んでいく、スタッフなに無茶しとるんじゃい、って作品なところも似てたりします。
(多分ギアスがボトムズの後継、と書いた人はこのへんの展開の無茶への皮肉だったろう、と見ていた人間としては腑に落ちてしまう部分があります。わりと困った作品かも)

ボトムズに関しては、地味でミリタリー色が強い世界の魅力でも作品を支えうる、と思うのですが、近年作られたOVAではなんというか主人公が作品を喰ってしまったというか……脇役扱いの新ヒロインをちゃんと主人公に据えたほうが面白くなっただろうな〜と思えるのですが、どうしてそうなったかも理解出来てしまうんですよね。

妙な偏り方でもそれを魅力と思うファンがつく、なんというかそこまで「強い」キャラクターとそれを支えうる要素をかけたら作り手としては勝ちなんだろうな〜と思います。

ちなみに、『コップクラフト』作者、賀東招二の『フルメタル・パニック』の発想元は『装甲騎兵ボトムズ』であると思われます。
すくなくとも主役・宗介はボトムズの主人公キリコ・キュービィに重なる部分が多いです(キリコを普通の日常に持ってきてスチャラカにしたらああなるだろうな〜みたいな)
長編版のあとがきでも、ボトムズの予告の文言を使ってますし。
終盤になって発想元を思わせる部分が多くなってきて、ニヤニヤしたりすこ〜し残念だったりです。
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2010/01/12 01:35
ボトムズの一ファンです(^^)。
作品自体の評価は、作られた時代背景もあるので、単純に比較はできませんが、
当時の作品としては完成度が高かったと思ってます。
モデラーにはたまらない素材でしたしね(^^)。
勢いでソノラマ文庫の青の騎士も読みましたねぇ。

両者の関係ですが、相似性は見出せても、間違っても”正当なる後継”とは思えませんねぇ(^^;。
どこがどうとかって説明できるほど考えてないので、観た感じからだけなんですが・・・。

相似性にしても、”コードギアス”って世界を巻き込む親子喧嘩だから、
世界を巻き込む兄弟喧嘩の”北斗の拳”が近いと思って観てました。
迷惑な一族だよなぁ・・・って(^^;。

そういえば、コードギアス、またやるようなこと言ってますね。

それにしても、まとまった解説ができるなんて凄いですねぇ。
自分もそれなりにマニアックと思ってましたが、未熟者でした(^^)。
アバター
2010/01/11 23:39
(続き)
すかさはさんが最初にのけぞられたように、ボトムズとルルーシュは全然別の系列だと、私も思います、両方とも全然見てないですけど、断言していいと思います。


そして、「主人公の行動こそが物語の主軸であり、その焦点は主人公にありつづける作品」って、ボトムズやルルーシュに限った話でもないように思います。

「鋼の錬金術師」だって、アルとエドの行動が物語の主軸ですし、焦点は兄弟にありつづけますし、キャラクターの魅力がファンを惹きつけているわけですが、だからといってボトムズやルルーシュと同列に論じる人がいたら、私もモニタの前でのけぞるでしょう。

思うに、すかさはさんがおっしゃる魅力的な要素とは、ボトムズとかルルーシュとかに当てはまると言うより、マンガとか、アニメとか、ライトノベル(「小説」ではなくて、マンガチックな読み物と言う意味で)に共通する魅力なのではないでしょうか。


くだけた言い方をするなら、
キャラクターの魅力と行動そのものが作品の醍醐味、っていうところがボトムズとルルーシュに共通する、というなら、そんなのハガレンだってコップクラフトだってしゅごキャラ!だってそうじゃん?
つうかぶっちゃけ、面白いマンガとかアニメとかラノベとかってみんなそうじゃん?
ということです。


というわけで、ここまで読んだ限りでは、私にはボトムズとルルーシュの相似は、あまり意外には思われないのですが・・・

私が意図を汲みかねているところがあるような気がしますので、補足していただけたらなあ、と。
アバター
2010/01/11 23:38
私は時々、すかさはさんがとても他人とは思えないことがあります。

・・・いや、前世で兄弟だったに違いない、とか、わけのわからないことをいいたい訳ではありませんよ?


さて。
おそらく私はすかさはさんの同年代と思いますが、親の仕事の都合で転勤を繰り返していたためか、運悪く「ボトムズ」は殆ど見た記憶がありません。
(放送期間の1983年4月1日から1984年3月23日には、私は地方に住んでいました。当時は地方だと民放の放送が少なくて観られないアニメがいっぱいあったのです。)

また、コードギアスは成人していて仕事が忙しかったのでこれまた殆ど見ていません、講読している雑誌と友人達から見聞きした程度の知識しかありませんが・・・
と、前置きした上で。


まず、
「ネットをあちこち覗いていて」「であった意外な文章」って、
それほど気にするものなのかなと、私は不思議に思いました。

ネット上でわけのわからない奇矯ことを書く人はいっぱいいます。
(ネット上じゃなくたっていっぱいいますけどね、新聞の読者投稿欄だっていますしね)

奇矯なことを言う人が、なぜそんな奇矯なことを言うのかということは、ある意味大変興味深いことではありますが・・・
気にされすぎないほうがよいのではないかと。

きりがないのでww
真面目に取り合う必要があるかどうか疑わしいものもあるじゃないですかww

(後半に続きます)



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