Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


柔くしなやかな月の下で

第十七章

今日は大分余裕をもって出社したため、会社には殆ど人はまだ居なかった。
「煙草でも吸うかな…」と私は薄手のコートのまま喫煙所へと向かった。
煙草を吸っている間、少し頭を空っぽにし、ただぼんやりと吸っていた様に思う。
一人きりの喫煙所はとても広く感じたが、私にとっては居心地が良かった。
煙草を吸いながら、「さて…仕事でもするかな」そう思う迄に時間は掛からず、
一本の煙草を吸い終えた私はロッカールームへと向かう。
コートを自分のロッカーへと仕舞い、バッグだけを持ってデスクへと足を進める。
デスクへと着くと、仕事始めには早い時間だったが、上司が自分のデスクへと座って居た。
「おはようございます」と挨拶をし、「おはよう、上河君」と返事が返って来た。
私は自分のデスクへと荷物を持ち込み、三十分は早いであろう時間に人はほぼ居なく、
私は珈琲を淹れに席を立った。
珈琲を淹れている間、「仕事」の事だけを考え私はデスクへと戻る。
「よし、やるか」と小さく呟き、仕事に取り掛かる。
あっという間の三十分であった為、人が疎らに出社している事にも気が付けずに居た。
先輩や、後輩、そして同僚の溝口も出社していた。
それぞれの人達に一通り挨拶をし、溝口にも「おはよう」と笑顔で言った。
溝口は「おはよ!相変わらずの集中っぷりだね!」と笑って居た。
「あはは…」なんて愛想笑いの様に私も笑い、「今日も頑張ろうね」と答えた。
仕事のウォーミングアップには丁度良い三十分に、私は満足し珈琲を淹れに席を立った。
私に着いてくるかの様に溝口も珈琲を淹れに席を立っていた。
「上河、昨日さぁ…」と楽し気に話し掛けてくる溝口は傍から見ると相変わらず
可愛らしい恰好をしていた。
珈琲を淹れながら、「今日はご機嫌だね」と私は笑い、「まぁね!」と溝口は楽しげだ。
「良い事あったんだぁ」と嬉しそうに話す溝口とは違い、私は仕事の事を考えていた。
珈琲を淹れ終えた私は「そっか」と楽しそうな溝口へと返事を返し、「先に戻ってるよ」
と伝え、「うん!」と溝口は返事を返してくれていた。
私はデスクへと戻り、仕事へと集中する。
いつもの様に仕事へと集中し、休憩時間には溝口に声を掛けられ、同じ空間で煙草を吸う。
そんな当たり前の様な日々を過ごしていた。
いつの間にか十七時を廻ろうとしていた頃、私は伸びをし溝口から「お疲れ」とにこやかに
言われ、「お疲れ、明日も仕事頑張ってね」と伝えた。
「明日は私、病院だからさ」と笑顔で言うと、「そうだったね!気を付けてよ?」と心配迄されてしまっていた。
「ありがとう」とにこやかに返事をし、いつの間にか淡いピンク色のコートを羽織った溝口は「今日は私は帰るかな!上河は残業?」と尋ねられ、「うん」と笑顔で答えた。
「あんまり根詰めない様にね!」そう念を押され、溝口は手をひらひらさせて「お疲れ~」と
言い残し、帰って行った。
私は少し集中し過ぎた、と思い珈琲を淹れに席を立った。
珈琲を淹れ終えた私はデスクへと戻り、人も疎らになった中伸びをし、珈琲を啜った。
少し煙草でも吸おうと思い、バッグから煙草ケースを取りだし喫煙所へと向かった。「
喫煙所に着いた私は煙草を一本取り出し、「今日は何時迄仕事しようか」なんて事を考えていた。
そういえば今朝のリム君は少し雰囲気が違ったな、なんて事迄思い出しながら、
「どうしたのかな…」と彼の事をふんわりと思い出す。
彼の事を考える時は何故か私の心はふんわりと柔らかくなる。
煙草ケースからアトマイザーに入った香水を纏い、何かあったのだろうか?と考えに耽りそうになった私は、「リム君が話してくれる迄待ってみよう」と私のばらばらだった考えは纏まった。
いつもよりも集中していたのだろう私は、煙草を深呼吸する様に吸い終え、デスクへと戻った。
それから仕事に取り掛かり、時間はあっという間に十九時を過ぎる時間になっていた。
今日は少々根を詰め過ぎた、帰ろうと思う考えに至った私は、上司に「今日はお先に失礼します」と
伝え、「お疲れさん」と労いの言葉を頂き、私も「お疲れ様です」と伝えた。
煙草を吸うよりも早く帰りたかった私はロッカールームへと足を運ぶ。
「さて、帰ろう…」と軽めのコートを羽織り、帰宅の道へと会社を後にした。
今朝はポトフを作ってくれていたな、とふと思い出し何か合いそうな物はないかと考え始めた私は
また、会社の近くにあるパン屋へと入っていた。
陳列されているパンを眺めながら、「フォカッチャ」に目が留まり、「あ、これ良いかも」と
フォカッチャを二つ買って帰る事にした。
ポトフに合いそうな「フォカッチャ」に浮かれていた私は鼻歌なんて歌いながら、帰る足取りはいつも以上に軽かった。
朝方の雨は上がっていた為、傘を差して帰る事もないなと、気分が良かった。
「さぁ、帰ろう」と私は彼の笑顔を期待して帰路へと着いた。

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2024/03/31 18:28
自分は仕事ができないから
と 人より早く出社して残業して 多分 他の人より頑張って働いてる主人公さん
尊いなあ って私は感じます
もちろん仕事だから結果は大切なのだけれど
取り組む気持ちって一緒にいる他の人にも伝わるし
見習いたいなって思いました

いつも とりとめのないことを書いてすみませんw



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