「…よく考えたら、どうして俺がここにいるのか、解らないんだが」
「まあまあ、どうせ別に、休暇中行くところの当てもないだろうに」
当てがなくても一向に困らないが。
「でも、こうしている間に、セシリアがまた熱を出したりしていたらと思うと…」
「アレク。ポチを預けてから、セシリアはそれほ...
ぶろぐ、の、ようなもの。
「…よく考えたら、どうして俺がここにいるのか、解らないんだが」
「まあまあ、どうせ別に、休暇中行くところの当てもないだろうに」
当てがなくても一向に困らないが。
「でも、こうしている間に、セシリアがまた熱を出したりしていたらと思うと…」
「アレク。ポチを預けてから、セシリアはそれほ...
「……それかもしれない。龍が「大食い」する理由」
「理由?」
「誰かが、死んだ大公を、生き返らせようとしている」
それならば、最大級の「禁呪」だ。
「誰か、って………誰が?」
「さあ、それは…誰にせよ、「金瞳」の持ち主であることは確かだ。…あるいは、すでに死んでしまった誰か、か...
講義が終盤に近づくと、各科目の考課基準が発表されはじめる。
試験やレポートが主だが、中には長い休みを利用しての課題達成が課されるものもある。「幻獣捕捉学実習」などはその代表だ。
そして、なぜかクリスもこの科目を取っていた。
「なんで今更、改めてこの科目を?」
「知らない。ガイダ...
「…何を言ってる?幻獣の守護を持つ王が、この国を」
「幻獣側からしたら。ユーサーの血族が絶えれば、自由になれるんじゃないかなあ、と思って。普通、幻獣憑きが命を落とせば、その死体を媒介にして幻獣が復活できるんだよね。封じられる前より力が落ちるのは否めないけど」
………え?
幻獣が、復活で...
まる三日かけて文献を当たったが、ユーサーの龍がどんな種族に当たるものなのか、を記述した物は、一つも無かった。その外見さえ、明らかにされていない。
大体ユーサーの記録には、二十代の後半に何年か――文献によって、一年から最大十二年――の空白期間があって、龍についての記述はその空白期間の後、突然出て...