迷宮 12 後編(完結)
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/12/29 00:03:00
「姫。一曲踊っていただけませんか?」
そう言って玲に深々とお辞儀をしたのは、薄いグレーのタキシードに身を固めた孝也だった。ただでさえ、引き締まった体躯の孝也だが、そのタキシードは孝也をいつも以上に大人に見せた。
6時にはじまったパーティーの1曲目を踊ってから、いろんな取引相手にあいさつ...
「姫。一曲踊っていただけませんか?」
そう言って玲に深々とお辞儀をしたのは、薄いグレーのタキシードに身を固めた孝也だった。ただでさえ、引き締まった体躯の孝也だが、そのタキシードは孝也をいつも以上に大人に見せた。
6時にはじまったパーティーの1曲目を踊ってから、いろんな取引相手にあいさつ...
「いいね、そのドレス。」
孝也は玲の真っ白のドレス姿に、ややきつい眼を優しく細める。
実際、ウエストまでまったく何もない、美しい白い光沢ときゅっと絞られたウエスト。そして、ウエストからすそまで豊かな布にちりばめられた真っ白な上品な真珠は、玲の白い肌を、より一層引き立てている。
...
そうして、今日。 とうとう玲にとって覚悟に日がやってきたのである。
その日は夕方から滝野家でクリスマス・パーティーが行われることになっていた。
朝から、孝也の母親は忙しそうに立ち回っている。
「おかあさま、何かお手伝いをすることはありますか?」
玲は今日何度目かのそのセリ...
12月25日。
世間一般にはクリスマスだが、如月玲にとってはそれよりも大切なイベントがある。 元婚約者の後輩であり、今年彼女の婚約者になった『滝野孝也』の25回目の誕生日なのだ。 二人の婚約はそもそもすんなりいったものではなかった。 彼女は今年、婚約者であり、幼馴染だった『山本 翼』と婚約し...
玲は祖母に本当のことを告げて、まっすぐ両親の墓を訪れた。
そして、静かに手を合わせる。 ちいさいころに亡くなった両親のことは玲は余り覚えていない。 だが、何かあった時は必ず、墓を訪れ、自分で報告することにしているのだ。
「お父様、お母様。―――どうしたらいいの?」
玲は墓石に...