Story - 1 / 4
――沈黙。
思わず由貴から逸らして、しばらく彼方此方をうろついた視線は鞄から本を取り出す自らの手を追った。まだ読んでもいない後ろのほうのページを意味も無く開いて閉じる。
「……由貴くん、母さん嘘は良くないと思うんだ」
苦心したあげく...
未来日記所有者14thの日記。
その日の出来事が「全て」小説のように綴られている。
しかし一日一回しか未来が更新されないので、大まかな事しか解らず精密さに欠けイレギュラーに弱い。
Story - 1 / 4
――沈黙。
思わず由貴から逸らして、しばらく彼方此方をうろついた視線は鞄から本を取り出す自らの手を追った。まだ読んでもいない後ろのほうのページを意味も無く開いて閉じる。
「……由貴くん、母さん嘘は良くないと思うんだ」
苦心したあげく...
Story - 1 / 3
独特の温さが、冷やされきった髪と頬を撫でた。教室の後ろのドアから入ると、まだまだ人は少なかった。私を入れて5、6人しかいないクラスメイトたちは、扉をあけた私を景色の一部のようにスルーして各々の世界に閉じこもっている。無論、私も同じに。話せば人並みに気さくだと自負する私に...
Story - 1 / 2
かろうじで座れた座席に滑り込み、文庫本を読みながら揺られること一時間弱。電車から降りると、溢れかえる人ごみのなかで登るべき階段を見失いそうになる。人ごみは嫌いだ。誰だって同じだろうけど。
*
午前7時52分。なんとか抜け出せた人ごみを魚のようにすり抜けて、自動改札...