デパートや繁華街の中で
人とぶつかったりこすったりした時に
「ごめんなさい」とか「すみません」とか
言ったものだったと隣の紳士が言った
そう言えば自分はどうしただろう
いつからなくなってしまったかもしれない
それが想いやりだとしたら
大切なものを捨ててきたのだろう
人を愛する時
幸福やきらめき...
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デパートや繁華街の中で
人とぶつかったりこすったりした時に
「ごめんなさい」とか「すみません」とか
言ったものだったと隣の紳士が言った
そう言えば自分はどうしただろう
いつからなくなってしまったかもしれない
それが想いやりだとしたら
大切なものを捨ててきたのだろう
人を愛する時
幸福やきらめき...
台風の去った空は
どこまでも青くて
白い雲が少しだけ
風に吹きそばれていく
台風の去った海は
どこまでも青くて
波は風にあおられて
砂浜を飛ばしていく
昨日まで大雨で
そんなこと知らぬままで
空の空気も潮の香りも
戻ってきたよと言わんばいかり
もしあなたがどこかで
同じ海を見ていたら
同...
夢を見た
あなたの夢を見た
もういないあなたの夢を見た
夢の中に私はいなかった
それが一番辛かった
いつも一緒だった
花火もお祭りも
春も夏も秋も冬も
あなたが側にいれば
それでよかった
風鈴の音を聞きながら
縁側に座りながら
ずっと一緒にいようねって
約束したはずだったのに
どこで糸は途切...
夏の終わりが近ずいてくる
まだまだ陽の光は強く
見上げるのもの白くて見えない
ぎらつくその1本1本が
光線となって襲いかかる
辛かった春が去った頃
夏には終焉を迎えると思っていた
夕暮れにベランダに出れば
少しさめた風が吹き
追憶にならない想いが突き抜ける
怖がり過ぎていた
あなたじゃなくて...
石段を登るのに
ヒールで来てしまった私
「あ~あ、なんでそんなもので来たの」
だって買ったばかりの靴を
あなたに見せたくて
登りづらかった石段
そこから見る街は
小さな世界のよう
まるでおもちゃで作ったように
あちこちを向いていた
「疲れただろう」
「そんなことないわ」
意地を張って見せたけ...