新怪アウトプッター(12)
- カテゴリ: 自作小説
- 2018/01/23 14:14:11
「どうぞ、おかけください。」こう言いながら、イケメンで理系という湯之原のスタイルに由梨花の気持ちは熱くなっていた。「割り勘でいきましょう。」 きっぱりと言ったのは、湯之原であった。「いえ。私の方がお願いしたのですから。」と由梨花の気持ちは焦った。 この時、何も言わずに、メニューを広げて湯之原の前に差...
「どうぞ、おかけください。」こう言いながら、イケメンで理系という湯之原のスタイルに由梨花の気持ちは熱くなっていた。「割り勘でいきましょう。」 きっぱりと言ったのは、湯之原であった。「いえ。私の方がお願いしたのですから。」と由梨花の気持ちは焦った。 この時、何も言わずに、メニューを広げて湯之原の前に差...
バラの黒で1位になった。 真っ先に思い浮かんだのは昭和34年度に第一回レコード大賞を受賞した水原弘の『黒い花びら』であった。作詞・永六輔、作曲・中村八大である。東映映画『青春を賭けろ』の主題歌であった。この頃から日本の経済は上昇気流に乗って、国内だけでなく、世界へ飛躍していくのであった。何か、...
週央だというのに居酒屋「魚秀」は混んでいた。それでも二階に上がる階段の下あたりで4人掛けのテーブルを確保できた。何にするか、注文書を見ているとスマホが鳴った。福村からであった。
「ちょっと、おれ遅れるわ。営業部長に頼まれたことがあるのだ。ちょっとだけ寄り道してから、そっちの方に行く。技術開発室の湯...
不可解なM社の内部文書がプリンターから打ち出された出来事から二日後、経理課では請求書の発送に追われていたが、社員の頭の中から異変現象が消えたわけではなかった。ただ、気にしたところで修正のしようがなかった。すでに、案件は上層部へ行ったので、ある意味、平社員の関知するところではなかった。一過性の手違い...
平田総務部長は何かの功績を挙げたかった。M社の総務部長とは森岡代議士の新年名刺交換会で顔を合わせている。だから、全然、知らない間柄ではない。事前に連絡して事情を話せば、相互交流ができないことはない。それに販売営業部では取引関係にもある。
「思い切って、事情説明に私が行ってきましょうか。もっとも、コ...