3年前に亡くなったはずの母だった。
「この浴衣、似合っているでしょ。井ノ原のばあちゃんの形見だけど、明治に仕立てられた絞りよ。いいものは長持ちするわね。あら、時間ががないわ。夜明けには戻らないといけないの。羽田に向かうわよ、早く車の鍵をかして」
鍵を渡すと、母は運転席に座り、僕は助手席に座った...
3年前に亡くなったはずの母だった。
「この浴衣、似合っているでしょ。井ノ原のばあちゃんの形見だけど、明治に仕立てられた絞りよ。いいものは長持ちするわね。あら、時間ががないわ。夜明けには戻らないといけないの。羽田に向かうわよ、早く車の鍵をかして」
鍵を渡すと、母は運転席に座り、僕は助手席に座った...
煙草が吸いたくなり、荻窪でコンビニに車を停めた。煙草の臭いが嫌いで、車の中で吸いたくなかった。珈琲を買って、店の外で煙草を吸っていると、女に声をかけられた。「送ってくれるかしら。」僕は怖くなり、車に乗り込んだ。エンジンをかけ、通りに出た。
車の中が煙草臭い。バックミラーを見ると、後部座席で女が...
お盆休み特別企画。著者初のホラー書下ろし。前書きも初めてだ
どこかで読んだネタ、パクリじゃないか、それがB級ホラーだ
くれぐれも、オチを予想したコメントをしないように
昌行は、灰皿に入れていた車の鍵をポケットに入れると、アパートを出て駐車場に向かった。東京オリンピックの翌年に建てられたアパートの...
ガリガリ君をかじりながら、駅前に向かって歩いた。
「なんで、トンカツ食う前に、アイス食べなきゃいけないんだよ」
准一は、毒づくと、食べ終えたアイスの棒を放り投げようとした。
「だめだめ、ポイ捨て禁止。出場停止になるわよ」
友美は、コンビニ袋を取り出すと、食べ終えたアイスの棒を受け取った。
うちの...
画面の中で、カメラは白球の軌跡を追っていた。白球がレフトスタンドに飛び込むと、スピーカーからは大歓声とアナウンサーの興奮した声が流れてきた。
「スリーランホームラン、延長10回の表、均衡を破る大きな大きなホームランが出ました。マウンドで城西高校の長野君がうなだれています。」
「終わったな」
准一は...